19日開幕のセンバツに出場する静岡が16日、甲子園練習に臨んだ。ナインは連日、WBCの熱闘をテレビ観戦。焼津市出身で、同校OBの日本ハム増井浩俊投手(32)と西武牧田和久投手(静清出=32)の活躍に刺激を受けている。大会5日目(23日)の不来方(岩手)との1回戦は、WBC決勝戦と同日開催。世界一を目指す地元の先輩たちに負けじと勝利を誓った。

 午前10時、甲子園練習開始のサイレンが鳴ると、静高ナインが一斉に駆けだした。規定の30分間でノック、ベンチ入りメンバーによるシート打撃を行い、投手陣がマウンドの感触を確認。1回戦で対する不来方(岩手)は部員10人で注目されるが、静高も21世紀枠選出校以外では最少の29人で、全員が聖地の土を踏んだ。小柳廉主将(3年)は言った。「高校球児なら誰もが憧れる舞台に、1年間やってきた仲間と立てたのは良かったです」。

 メンバーは一気にテンションを上げたが、前夜も大いに盛り上がっていた。侍ジャパンの熱戦に見入ったからだ。特に刺激を受けていたのが、増井、牧田と同じ焼津市出身でスイッチヒッターの前田優太外野手(3年)だ。「親近感があります。自分も頑張らないといけないと思えます」。増井とは、小5だった7年前に触れ合っている。当時投手だった前田は、他の選手らが助言を受ける中で「直すところがない」と言われ、うれしい一方で「教えて欲しかったですね」と振り返った。前田は今年に入ってからの練習試合4戦で12打数7安打。この日も左右両打席でフリー打撃に臨み、外野へヒット性の当たりを連発した。「両方ともいい感じできています。調子を維持というより、さらに上げていきたいです」。

 春翔一朗投手(2年)は、牧田に心を奪われている。「勝負どころで力が出せることがすごい。低めに丁寧に投げる姿は目指すべきところ。見ていてモチベーションが上がります」。

 チームとしても、侍ジャパンとともに勝利を飾りたい思いがある。不来方戦は23日午後2時開始予定で、WBC決勝戦は同日午前10時(日本時間)開始。世界一を目指して戦う増井、牧田の勇姿は見られないが、小柳は「(増井先輩に)投げて欲しいです。僕たちは日本一を目指して頑張りますので」と声を弾ませた。【鈴木正章】