今春センバツの21世紀枠の東北地区候補校となった利府(宮城)が4日、学校近くの青麻(あおそ)神社に初詣でし、甲子園出場の実現を祈った。毎年恒例の年末年始アルバイトを中止し、ナインは「個人リポート」で野球を意識したまま年越し。OBや家族の協力も得て、同校初の夢舞台へ準備を進めている。ナインは初詣での後、学校で09年初練習も行い汗を流した。

 午前9時。利府ナインは学校から約5キロ離れた青麻神社に向けて、ジョギングで出発した。84年の創部以来、夏の県大会前には欠かさず、おはらいも受ける親しみある神社。到着した部員は、1人ずつ手を合わせた。「甲子園に出られるように、お願いしました」と遠藤聖拓主将(2年)。その足で再び学校に戻ると早速、新年最初の練習で体を動かした。

 センバツ出場決定を想定し、新春を迎えた。同校ナインは毎年、12月下旬から正月明けまで約2週間、遠征費や合宿費捻出(ねんしゅつ)のため年賀状配達のアルバイトを行うが、今回は年末12月28日まで練習。年明け3日まではオフとなったが小原仁史監督(45)は「個人リポート」と題し全員に、自宅での自主練習の計画書や達成度などを書かせる、報告書の提出を義務づけた。

 このリポートは、センバツ出場が決定した際にメンバー選考の参考にするという。この日、部員の顔を見た小原監督は「みんな、例年とは心構えが違う。いい期間になったと思う」。わずか6日間のオフでも、部員に競争意識を植え付けることで、モチベーションの維持に成功したようだ。

 春の甲子園出場が決まれば、2月中旬には合宿も行う。その費用は父母会が協力して出すという。また、この日は遠藤の兄で、OBの遠藤貴紀(日体大1年)が練習の手伝いに訪れた。「周りの人も期待してくれている。もし出場が決まったら、優勝を目指して頑張りたい」と遠藤主将。夢舞台に立つ日を信じて、突き進む。【由本裕貴】