第81回選抜高校野球大会(3月21日から12日間、甲子園)の出場校32校が23日、発表され、21世紀枠で大分上野丘(大分)が49年以来60年ぶり3度目のセンバツ出場を決めた。県内トップの進学校で難関大学を目指す選手がまずセンバツ「合格」を果たした。

 本番でも校歌斉唱だ!

 60年ぶりのセンバツ切符を手にした大分上野丘ナインが、高野連からの連絡を受けた10分後に緊急全校集会で甲子園出場を報告。まだ、地区代表の発表が続いている3時25分には、春夏過去3度の甲子園でまだ歌ったことがない校歌を全校1043人とともに早くも体育館に響かせた。

 1秒でも無駄にしない大分上野丘らしい喜び方だった。創立120年を超える伝統校で、毎年10人ほどが現役で東大に合格する県トップの進学校。新3年生部員のうち、露口直也主将ら3人が東大志望という文武両道チームだ。学校の規定で平日の練習時間は2時間と決められている。そんな環境で培ったのが「少ない時間で1球にかける思いは強い」(露口主将)という集中力。「(勉強は)手を抜くと点数にでる。野球も同じ。やらないと結果にでない。部活、勉強ともより高い目標を持って取り組むのがうちのスタイルです」。OBでもある釘宮啓彰監督(41)も文武両道ならではの強みを口にする。

 昨年、教育問題で揺れた大分県の明るい話題となった進学校のセンバツ出場。しかし、生徒は喜びに浸る間もなく、24日には模試が待っている。甲子園にはもちろん参考書を持参するが、出場するだけでは満足しない。昨年、全国放送コンテストで日本一になった放送部からも取材を受けた露口主将は「勉強で、同じように(部活の)短い時間の中で日本一になった放送部は刺激になった。絶対に勝って校歌を歌いたい」。この日、真っ先に唱った校歌を、今度は甲子園で響かせてみせる。【村田義治】