待望の札幌ドーム初勝利だ。日本ハムのルイス・メンドーサ投手(31)が、28日のソフトバンク3回戦で今季2勝目を挙げた。4回に柳田にソロ本塁打を浴び、先制されたが粘り強く投げ、6回3安打1失点。来日2年目、登板10試合目で本拠地初白星を手にした。2位西武とは3ゲーム差。首位独走の雰囲気が漂ってきた。

 待望のステージで、幸福感を爆発させた。メンドーサが大きく口を広げ、声を張り上げた。「札幌ドーム初チョウリ! ハッピーデス!」。お立ち台で赤ちゃん言葉になりながらも、日本語で感動をぶちまけた。来日2年目。6回3安打1失点で、本拠地・札幌ドーム登板10試合目で初白星を手にした。今日29日にモニカ夫人(26)の第1子出産に立ち会うため一時、帰国する前の「ラスト登板」だった。「勝って帰らないと、合わせる顔がなかったよ」。愛する妻と、まだ見ぬわが子との対面へ、力はみなぎった。

 勝利への執念が、加速した。1回2死。柳田を一ゴロに詰まらせた球は、来日最速150キロを計測した。「160キロ出たことあるよ」とジョークを飛ばすほど、自信が宿っていた。「ブルペンのときから良かった。今年マックスだったね」。4回に先制ソロを許すも、その後は失点を許さなかった。6回に同じ助っ人ハーミッダが逆転打。リーグ優勝した12年9月1日ソフトバンク戦以来、3年ぶりに貯金8を積み上げた。

 愛妻の言葉が、支えになった。来日1年目の昨季、メジャー通算16勝の実績で入団も7勝13敗。期待を大きく裏切り、心は沈んだ。5歳下のモニカ夫人から「今まで、これ以上にひどい状況があったじゃない。こんなの屁(へ)じゃないわ」と励まされ、気づいた。米時代はマイナー契約からメジャー昇格。苦しい時期もそばで寄り添い、応援し続けたモニカ夫人の声は響いた。

 「ガッカリさせてきたファンの前で、頑張ってきた姿を見せたい」。昨年9月。妊娠したばかりのモニカ夫人が体調不良を訴えた。メンドーサも遠征で不在の中、病院に連れて行ってくれたのが同じマンションに住む日本人だった。夫婦とも恩がある「第2の故郷」のファンの前で、悲願の白星をつかんだ。

 栗山監督は「気持ちよく奥さんのところにいけて良かった」と一緒になって喜んだ。昨年8月の妊娠判明から、節約も兼ねてタクシーから電車にチェンジ。モニカ夫人がつわりのひどい時期は、食事の話題は避けた。全ては愛する妻のため、3日に誕生予定のマルセロくんのため。「お前のために白星は取っておいたんだぞ」。大きく、華やかな手土産を引っさげ、愛する家族との再会を迎える。【田中彩友美】

 ▼来日2年目の日本ハム・メンドーサが本拠札幌ドーム10試合目の登板で初勝利を挙げた。球場別では東京ドーム、QVCマリン、ほっともっと神戸がいずれも2勝で最多。その他ヤフオクドーム、ナゴヤドームで1勝している。パの本拠地ではコボスタ宮城、西武ドーム、京セラドーム大阪でまだ勝利を収めていない。