一瞬にして、オリックスの希望は絶望に変わった。9回1死三塁。丸への初球、平野佳寿投手(31)のフォークは暴投に。ミスで決勝点を与えた。「ストライクを取りにいくところではなかったので、厳しくいったんですが」と守護神は唇をかんだ。

 ベンチは川端を左翼に回し、T-岡田を下げて駿太を中堅に入れる守備固めも、直後の1球で吹き飛んだ。今季13敗目(2勝)の1点差試合。森脇浩司監督(54)も「しのぎあいで負けた」と声を絞り出した。自力優勝の可能性が消滅する危機にある。この日はソフトバンクの敗戦で逃れたものの、今日の結果に左右される状況は変わらない。

 そんな重くなりがちな雰囲気の中、エース金子千尋投手(31)の奮闘は前を向ける材料だ。復帰初戦の前回ロッテ戦は満塁弾を浴びるなど、3回6失点降板。この日は初回1死満塁でシアーホルツ、エルドレッドを空振り三振。6回2失点と先発の役割を果たしたエースに、指揮官は「十分な投球」とうなずいた。

 1年前の5月31日。金子は巨人相手に9回無安打無得点。右肘手術を経て1年後の今「まだ自分のことでいっぱいいっぱいなところがある。肘のことが気になっている」と不安と闘う。6回2失点にも「ボールが先行することが多く、リズムの悪い投球になってしまいました。もっと取られてもおかしくなかった」と自身にダメを出した。

 チームは復帰星を贈ることなく、借金はまた今季ワーストタイの14に逆戻り。良薬になる白星が欲しい。【堀まどか】