150キロの速球でも、ロッテのアルフレド・デスパイネ外野手(29)には絶好球だった。7回、真ん中に入ってきた初球をフルスイング。霧雨の空を切り裂くように、打球はバックスクリーンに届いた。5月27日の広島戦以来、約1カ月ぶりの9号。「スタメン復帰2戦目での本塁打はうれしいよ」とほおが緩んだ。

 右膝靱帯(じんたい)を損傷してから、プチダイエットに目覚めた。自動販売機で買う飲み物は緑茶。好物のマンゴージュースは控えている。体を絞りパフォーマンスを向上させるためのそんな小さな努力が、チームの連敗を3で止める働きにつながった。

 この日は巨人のセペダとメンドーサが、キューバ代表としてパンアメリカン大会に出場するためにキューバに飛び立った。だが、自分はギリギリまでロッテに貢献してから代表に合流する道を選んだ。「僕は帰らない。直接トロントに行く」。それまではチームの勝利のためにすべてをささげる。

 2年目となり、日本語も少し覚えてきた。「おつかれ」「ちょっとまって」。日本になじむほど、力は発揮しやすくなる。この日から4番に復帰した助っ人に伊東勤監督(52)も「普通にやれば数字を残すバッターだと思う」と全幅の信頼を置いた。【竹内智信】