DeNA中畑清監督(61)の“昇格即日リレー”が決まった。胃腸炎で先発を回避した砂田に代わって緊急先発させた高崎が、5回1失点で4月以来の2勝目。同じくこの日昇格したばかりの須田を6回から投入すると、2回無失点の好投でつないだ。最後は山崎康が締め、1点差で逃げ切った。後半戦は2度の4連敗で沈みかけたが、初の連勝で4位に浮上。再び上位進出を目指す。

 最後まで冷や冷やの綱渡りだった。3者凡退は8回の1イニングだけで、9回も1死一、二塁のピンチを切り抜け、薄氷の勝利をつかんだ。DeNA中畑監督は「スリリングな野球。ハラハラ、ドキドキでいい感じの野球だった。勝ったからより最高!」と声を張り上げた。

 4月26日以来、約3カ月ぶりの1軍登板となった高崎が「久しぶりで緊張しすぎた」と言いながらも5回1失点で粘った。7月30日の練習後、1軍昇格を告げられた。「びっくりしたけど、やることは一緒」と気合を入れ直した。4回には1-1とされ、なお1死二、三塁で石原のスクイズを的確に処理して三塁走者を刺し、一塁への転送も間に合って併殺に。8安打を浴び、毎回走者を背負いながらも要所を締めた。

 6回からは、高崎とともにこの日1軍昇格した須田が、2回を無失点と好投。迷うことなく送り出した中畑監督は「高崎は次の登板も考えて思い切って代えた。須田はショートイニングでもしっかりゲームが作れる。あの2イニングで行ける空気を作ってくれた」とご満悦だった。

 最後は、この2人の苦労を知っていた山崎康が締めた。先頭の四球からピンチを背負ったが、得意のツーシームで切り抜けた。「高崎さんはファームでも一番最初にグラウンドに来ていた。試合の何時間も前から動いていた。力不足ですが、力になれればと思っていた」と、4カ月ぶりの白星をアシストした。

 前夜は石川が左太もも裏を痛めリタイアした。この日は代打で出た後藤が空振りした際に右股関節の周囲を痛めて抹消となった。故障者続出のピンチだが、中畑監督は「夏場は疲れがたまる。全力でやっているんだから防ぎようがない。みんなでカバーしあうしかない」と力を込めた。厳しい試合をものにして広島をかわし、4位に浮上。だからこそ「今日の勝利はただの1勝じゃない」と言った。中畑DeNAは最後まで諦めない。【矢後洋一】

 ◆DeNAの1軍登録メモ 開幕当初の先発投手は久保、山口、三嶋、井納、モスコーソ、高崎の6人で回していたが、1日時点で1軍は久保と高崎だけ。今日先発予定のモスコーソが7月1日以来、1カ月ぶりに1軍へ復帰する。後藤が今日抹消されると、野手も開幕1軍だった17人のうち7人が2軍となる。