駒大のドラフト1位候補左腕、今永昇太投手(4年=北筑)がプロ志望届を提出した。春のリーグ戦を左肩腱板(けんばん)炎症で全休。今季も2敗と結果が出ず自信が揺らいだが、リーグ通算18勝、最速148キロの実績を胸に、プロ入りへかじを切った。この日は登板せず、チームは2-5で中大に逆転負けを喫した。

 登板のなかった中大戦を終え、今永が決意を語った。「退路を断つというか。結果は伴っていませんが、監督と話し合って提出することにしました」。本来は2日にプロ志望届を提出する予定だったが、救援した亜大戦をふがいない結果で終え、敗戦に涙しながら志望届提出についての明言を避けた。約1週間、考え抜いて出した結論だった。

 1位評価を疑わない周囲と、今季の自己評価は真逆だった。肩痛で春のリーグ戦登板を回避し、復帰した今季は2試合で先発も白星がない。チームも勝ち点を挙げられないことで責任を感じていた。先週には福岡の両親にも電話し、「提出するかどうか考えたい」と伝えていた。

 背中を押したのは西村亮監督(41)だった。この3日間、毎日話をした。「『自分自身のやりたいようにやれ。悲観的にならずに』と言われました。チームの結果が出ていなくて、僕自身の姿が周りにいろいろ影響してしまっていたのでは、と。ちゃんとしていかないといけないと思いました」と、本来の前向きさを取り戻した。

 最速148キロの直球に、変化球の切れと制球力を持ち合わせる。昨秋日本一の原動力となった左腕の評価は揺るぎない。「これ以上落ちることはなくて上がっていくだけだと思う。期待してくれる人もいますし、そのすべての人の思いを背負ってやろうと思います」。大きな決断を下し、前だけを見た。【和田美保】

 ◆今永昇太(いまなが・しょうた)1993年(平5)9月1日生まれ。福岡・北九州市生まれ。6歳で永犬丸西ソフトボールクラブで野球を始め、永犬丸中では軟式野球部に所属。北筑では2年からエースで、3年春1回戦(折尾愛真)で14奪三振。駒大では1年春からベンチ入りし、3年秋にMVP、最優秀投手、ベストナインで3冠。リーグ通算18勝15敗。178センチ、77キロ。左投げ左打ち。