阪神が来季新監督を要請している金本知憲氏(47)に長期的視野の改革を求めたことが6日、分かった。これまでの戦力継承型ではなく、長期計画での改革、底上げを最優先し、その上で優勝を目指す。そのために異例の長期契約となる可能性もある。金本氏は講演では監督就任について「タイミングさえ合えば」と前向きとも取れる発言をしていた。球団側と極秘接触するとの情報もあり、決断の時が迫っている。

 チームを根本的に変えてほしい。猛虎が金本氏に「大改革」を望んでいることが分かった。1日に正式要請を行ったが、その中では条件面の他にも、球団が目指すべき方向性なども話し合われた模様。これまでの真弓政権、和田政権は前体制の戦力にプラスアルファしながら、継続して優勝争いできるチームをつくってきた。12年に誕生した和田監督は就任時に「今の戦力に少しのスパイスを加えれば優勝できる」と話した。リーグ屈指の戦力を背景に、1年目から優勝を狙ってスタートした政権だった。だが、今年のチームはこの数年間、ずっと主力で活躍してきた選手が力を振り絞って優勝争いを繰り広げたという印象が強い。つまり、戦力は右肩上がりとは言えない状況だ。

 そこで、金本氏に望むのは1度、チームを解体した上で、抜本的な改革を行うこと。さらに、最初の数年間でじっくりと若手、及びチームの底上げをはかり、地力をアップした上で優勝に手が届く常勝軍団にしてほしいというものだという。

 球団側の提示は和田監督と同じように3年契約が基本線だとみられるが、改革には時間を要するということもあり、3年からさらなる長期契約になる可能性もあるという予測もしているようだ。外国人選手、ベテランに頼ってきたここ数年の戦いから、現在のチームは難しい状況にあることは球団内外の関係者も指摘する。もちろん、金本氏も分かっているだろう。だからこそ、決断には慎重な姿勢を示しているという。

 ただ、先日に宮城県で行われた講演で、就任について「タイミングが合えば」と語ったように前向きな姿勢も見える。大改革という難題に立ち向かえる環境が整えば、金本阪神誕生となりそうだ。この日も球団関係者が「(接触が)あるかもしれない」と語っていたように、球団側と水面下で接触している可能性はある。今日7日にはチームがCS進出できるかどうかが決まる。猛虎改革の使者が決断する時は近づいている。