「秋山ロケット」が、大空に舞い上がった。西武秋山翔吾外野手(27)が20日、横須賀市内で野球教室を行い、特別参加した同市出身の小泉進次郎衆院議員(34)と対決。約200人の小中学生の前で豪快な“本塁打”を放った。今季、シーズン最多安打記録を更新する216安打を放った「安打製作所」が、磨き上げてきた技術力を見せつけた。

 3、2、1、発射! 秋山が放った打球は、右翼方向にぐんぐん伸びていった。打ち上げ成功だ。「小泉さんが素晴らしい球を投げていただいたので、しっかりしたバッティングで応えたかった」。人気ドラマ「下町ロケット」で俳優阿部寛演じる主人公佃の名セリフ「技術はうそをつかない」と言わんばかりに、抜群のバットさばきで“刺客”を粉砕した。

 ドラマのような結末だった。初球は二ゴロに抑えられた。2球目のボール球は見極めた。小泉氏から「本気だな」と声をかけられると“ガチンコ勝負”に突入した。小泉氏の兄は「下町ロケット」でライバル役を演じた俳優小泉孝太郎。この日の“主役”として、負けるわけにはいかなかった。3、4球目もボール。終了時間が迫る中、最後の5球目をとらえた。秋山は「ホームランを打てる位置に投げてくださった」とニッコリ。小泉氏は「さすがです。216本のヒットを打たれた投手の気持ちがわかった」と肩を落とした。

 因縁? の対決で、結束は深まった。秋山が通った横浜創学館と、小泉氏の母校・関東学院六浦は約400メートルの距離。小泉氏は同校野球部で二塁手だった。年齢は違えど、ともに甲子園とプロ野球選手を目指した男同士。10年に秋山がドラフト指名を受けて開かれた壮行会では、小泉氏からエールを送られた。「日本の秋山といえば、西武で活躍した秋山幸二さん。これからは、秋山といえば翔吾と言われるように頑張れ」。5年目の今季、思いに応えてプロ野球の歴史を塗り替え、夢の対戦も実現した。「地元に小泉さんのような方がいるのは心強い。お時間をつくっていただいて光栄」と感謝した。

 仕事には夢を持って挑戦し続ける。最多安打記録は、残り2試合から7安打の固め打ちで達成。困難を乗り越えてみせた。次の目標は「チームの日本一」と言った。港町が生んだ「秋山ロケット」は、さらなる高みを目指す。【鹿野雄太】

 ◆下町ロケット TBS系列で、日曜午後9時から放送されたドラマ。20日が最終回だった。原作は池井戸潤。東京の中小企業「佃製作所」を舞台に、大企業をしのぐ技術を追究する佃社長(阿部寛)による、ロケットエンジンや新型人工弁「ガウディ」の開発に挑戦する姿を描く。小泉議員の兄、小泉孝太郎の演じるサヤマ製作所・椎名社長は、佃のライバルだった。