史上最年少の5戦連発! 日本ハム大谷翔平投手(21)が、野手出場5試合連続本塁打となる先制の8号2ランを左中間スタンド上段に放り込んだ。今季初の3番に座り、1回1死一塁、無敗を誇っていたソフトバンク・バンデンハークのスライダーを捉えた。77年田代富雄(大洋)を抜く最年少で、球団では81年ソレイタ以来35年ぶり。投手では1勝止まりだが、打者大谷の快進撃が止まらない。

 真っ青な日没前の空へ、記録的な軌跡を刻んだ。大谷が速攻をかけた。1回1死一塁。1ボールからの2球目のスライダーをはじく。確信した。強振し、右手で軽くバットを放り投げる。中堅左、上段へ飛び込む8号先制2ラン。「うわ! スーパーバッター!」。練習中に敬意の言葉でいじられた昨季トリプルスリー男、中堅の柳田の頭上高くを突き抜けていった。

 無敵のバンデンハークを来日2年目で、初めて沈める号砲になった。4日ソフトバンク戦から、価値ある野手出場5試合連続本塁打も涼しい。

 大谷 いい内容の打席が続いている。タマタマですけれどね。

 進化の証しがアプローチにある。計8本塁打のうち7本が1ストライク以内だ。投手有利のカウントになる前に勝負して、仕留める。大谷攻略の配球のセオリーが、高低の揺さぶり。2ストライクからは、低めボールゾーンの変化球で誘われる傾向が顕著だった。今季は、早い仕掛けで量産する。4年目を迎えた「二刀流」。昨季は5本塁打と、味わった失意が教訓になった。

 相手バッテリーとの心理戦。好球を仕留める確度を上げた。節目の一撃を生んだ第1ストライクの打率は今季25打数12安打で打率4割8分と驚異だ。オフに取り組んだ肉体改造。「狙い球を決めて打ちにいく時は打ちにいっている」。パワー増の恩恵がクローズアップされるが、思考と技術の精度の向上が進撃のエッセンスになっている。

 球団のスラッガー史をひもとき、快勝へ導いた。「サモアの怪人」と呼ばれた81年ソレイタまで、さかのぼる5戦連発。日本人では73年に6試合連続本塁打の大杉以来となる。「(周囲に)言われて知ったので知らなかったです」。投手では8登板で1勝4敗も、打者では破竹の勢い。傷心を少し溶かす、大仕事をした。偏る投打をシンクロさせた「二刀流」の成熟で、日本ハムの正真正銘の起爆剤になる。【高山通史】

 ▼大谷が自身初の5試合連続本塁打。5試合以上の連続本塁打は13年ブランコ(DeNA)以来で、日本ハムでは69年に5試合、73年に6試合の大杉、80年クルーズ、81年ソレイタに次いで4人、5度目。大谷の21歳10カ月は、77年田代(大洋)の22歳9カ月を抜いて5試合以上連続本塁打の最年少記録となった。王(巨人)は最初に5戦連発を記録したのが30歳1カ月の70年。王が20代で1度もやっていない5戦連発を、二刀流の大谷が21歳10カ月で記録した。

 なお、連続試合本塁打のプロ野球記録は72年王、86年バース(阪神)の7試合で、パ・リーグ記録は73年大杉ら8人の6試合。大谷が今日の試合でパ・リーグ記録に挑戦する。