粘って報われた。中日若松駿太投手(21)が9回、最後の打者村田を一ゴロに仕留めると大きくガッツポーズ。約1カ月ぶりの白星に雄たけびを上げた。今季最多141球を投げ抜き2安打1失点。15年8月2日巨人戦以来の完投勝利だ。

 1回に3番坂本に先制15号ソロを打たれたが、それ以降は直球、チェンジアップ、スライダー、カーブと持ち球をフル活用した。粘って巨人打線を封じ、味方の援護を待った。「粘っていたら逆転してくれると信じていた」。思いは通じた。9回に相手バッテリーのミスで2点を勝ち越しに成功。若松に白星が舞い込んだ。谷繁監督は「最後、ああいうかたちで点を取れたのは、若松が粘ったおかげ」とねぎらった。

 後はないと思いながら、マウンドに立っていた。「正直、危機感を持ってやってきた。いつかは、いつかはと思っていた」。2試合連続で5回持たずにKO。前回登板の24日ヤクルト戦は山田に2ランと2点二塁打を浴びた。「もう2軍だということを頭に入れて、1軍にはいつくばっていようと思っていた」。4年目右腕は先発ローテの軸としての意地を見せた。

 この日は同期入団の杉山ではなく、桂と4月29日広島戦以来の今季2度目のコンビを組み心機一転した。さらに、日程の関係で登板間隔が空くことも重なり、指揮官も「今日はとにかく最後まで若松ということで」と迷わず9回のマウンドに送り出した。最後まで粘った若松に流れが向いた。【宮崎えり子】