ソフトバンクが痛恨の逆転負けを喫した。1点リードで迎えた終盤。千賀が6回を1安打無失点に抑えながら、マウンドを降りた。まさかの交代だ。実は首脳陣に握力の低下を訴えていたという。工藤監督は渋い表情で振り返った。「握力がなくなったというので、代えようということになった。いいピッチングをしていたんだけど…」。最大の武器であるフォークが低めに決まり、各回を3人で封じる会心の投球だった。

 予想外の事態で流れが変わった。スイッチした森福が秋山を中前打で出塁させ、森が同点タイムリーを許した。続投となった8回には代打森に決勝打を浴びる。9回の五十嵐も含め、3人のリリーフ陣がそれぞれ1失点。3敗目を喫した森は「(8回は)切り替えはできていた」と言葉少なに球場を後にした。それでも指揮官は救援陣を責めなかった。「投手は3点に抑えている。取られるなよ、とは言えない」とかばった。

 7月はこれで8勝8敗。前夜は打線につながりが生まれたが、この日は一転。投打ともに波に乗れない状況が続く。4回に犠飛で1点を先制して、1死一、二塁。9番鶴岡は強攻策で併殺に倒れた。「迷ったけど、送るという考え方ができなかった。(打撃の)調子がよかったので、打たせたかった」と工藤監督は振り返った。就任以来、攻めの姿勢を貫いている。打撃陣の完全復活を前に、我慢の日々だ。2位チームに3・5ゲーム差に接近されたのは、5月26日以来となった。【田口真一郎】