勝利の使者が決勝アーチだ。日本ハム岡大海外野手(25)が4回、中田の同点弾の後、勝ち越しの2号本塁打を放った。今季は右足首痛で出遅れたが、6月20日の1軍昇格後、チームは21勝2敗の快進撃。首位ソフトバンクと再び3・5ゲーム差に接近した。奇跡の逆転Vへ、打率4割超えの絶好調男がチームに追い風を吹かせている。

 破竹の勢いを象徴する男が、一振りで逆転劇を呼んだ。同点の4回2死。岡が、ポーリーノの速球をフルスイングで左中間席の上段まで運んだ。決勝の2号ソロ。規定打席に達していないものの、打率4割8厘を誇る、隠れたヒットメーカーが大仕事をした。

 「僕はホームラン打者じゃないので。たまたま打てただけです」。レアな本塁打時の恒例儀式も披露した。三塁ベースを回る際、三塁ベースコーチを務める白井内野守備作戦担当コーチと、顔の前で両手をフリフリするポーズをした。常に口が半開きのため、お互いに注意を払うという意味で編み出したという。レアードの「すしポーズ」を考案した同コーチとの儀式は、チームに欠かせぬ存在になった証しと言ってもいい。

 3月17日のソフトバンクとのオープン戦。平凡な遊ゴロで、一塁ベースを踏み損ねて右足首を捻挫した。未体験の衝撃が襲った。「野球人生が、これで終わったと思った」。歩行もできずに途中交代し、都内の病院へ直行した。松葉づえをついてタクシーへ乗り込む前に泣いた。「本当に情けなくて…」。道中は約1時間の車中でも涙に暮れた。

 成長著しく開幕スタメンが内定していたが、野球の初歩的な動作のミスで逃した。自己嫌悪にさいなまれながらのリハビリの日々だった。「先が見えなかった」。心が折れそうになったが克服して再起。6月20日に今季初めて1軍へ昇格し、球団新の15連勝にも貢献した。岡が合流してから23試合が経過し、何と21勝2敗。驚異的な勝率を誇る。

 「僕たちファイターズは勝つしかない」。連勝で首位ソフトバンクに再び3・5ゲーム差。岡ら魅力あふれる個性派軍団が必死に追う。【高山通史】

 ◆日本ハム岡が昇格後快進撃 右足首痛で出遅れていたが、今季初昇格の6月20日DeNA戦から戦列復帰。同日は、のちに球団新記録の15連勝となった2連勝目だった。岡が昇格後は21勝2敗で、勝率は驚異の9割1分3厘。岡自身も出場22試合で猛打賞4試合。打率4割8厘と好調を持続している。