巨人長野が決勝の適時二塁打を放ち、「メークドラマ」再現のデッドラインで踏みとどまった。同点の9回2死二塁、中日又吉の直球をはじき返し、右中間を破った。「剛ちゃん(堂上)が出塁してくれたので、何とかかえしたいと。ノブ(今村)と山口さんも頑張っていたし、打てて良かったです」。気づかいの男らしく、周囲の活躍を口にする“長野節”で殊勲の一打を振り返った。

 夏男の本領発揮だった。プロ7年目だが、右膝と右肘の手術明けの影響で苦しんだ昨年を除き、8月は打率3割超え。「夏は大好き」と公言する男は今年も、この日まで打率3割3分3厘と高打率をマークし、5日の広島戦から12試合連続安打を記録する。「そういうのを言うと、止まっちゃうんで言わないでください」と笑ったが、今季17試合目で中日戦初打点を記録するなど、8月で全てを払拭(ふっしょく)した。

 最大13差をまくった08年の大逆転優勝は、残り34試合で首位との7ゲーム差をひっくり返した。この日の勝利で首位広島とちょうど7差。歴史の再来を予感させる数字に並んだ。高橋監督は「ここからはどれも大きな1勝ですから」とコメント。シーズンの正念場を迎える。【久保賢吾】