今秋ドラフトの目玉で最速156キロ右腕の創価大・田中正義投手(4年=創価)が、歓喜なき“胴上げ投手”となった。流通経大2回戦で10-4の9回無死満塁から緊急登板。押し出し四球と犠飛で2点を返されたが、後続を三振、右飛に抑えた。23年連続となる2季ぶり43度目の優勝も、胴上げはなし。「やりたかったけど、優勝は日本一を取るための過程。喜んでいる暇はない」と冷静に言った。

 今秋初完投からの連投となったドラフト前最終登板は、ソフトバンクのスピードガンで最速152キロを計測した。「優勝していなかったら、複雑な感情があったと思う。1つスッキリして臨める」と話した。この日もソフトバンク、西武、広島、中日のスカウトは試合開始から3時間以上が経過しても登場を待った。注目度NO・1でも「指名がある確約はないし、ゼロの状態で待つしかない。自分が作文を書いて出すわけじゃないので」。高校時代に右肩を痛めて外野手転向を味わった男は、謙虚な姿勢を崩さず運命の時を待つ。