V奪還を目指し「工藤塾」がバージョンアップする。CSファイナルステージ敗退から一夜明け、ソフトバンクは空路で敵地札幌を離れた。工藤公康監督(53)は宮崎での秋季キャンプで、強化指定選手に体幹トレーニングを課すことを宣言。昨秋よりもメニューを増やし、体力強化に励む方針だ。今季の若手投手台頭につながった「工藤塾」で、日本ハムを封じこめる投手力を作る。

 3年連続日本一の目標は日本ハムに阻まれた。一夜明け、傷心のナインは空路で敵地を離れた。1週間の休養を取り、24日から秋季練習を行う予定だ。

 V奪還の道は、この秋から始まる。新千歳空港で報道陣に対応した工藤監督は「昨日まで日本シリーズを目指していたんだ。すぐにいろんなことは決まらないよ」と苦笑したが、秋季キャンプの構想は大枠で練っている。

 「おのおのの課題、足りないと思ったところを重点的に強化してもらう。続けてもらわないと、意味がない」

 1年前。昨秋のキャンプでは、千賀や東浜ら若手投手が強化選手に指定され、ハードな体幹トレーニングに取り組んだ。ここを起点にシーズン中も鍛え続け、千賀が12勝、東浜が9勝を挙げるなど若手の台頭を生んだ。キャンプ地の室内練習場で日が沈んでからも、苦悶(くもん)の表情を浮かべる姿は、地獄さながらだった。工藤監督は今回のキャンプでも継続を宣言。さらにバージョンアップを予告した。

 「メニューは増やす予定です。(昨年は)上半身は入れてなかったからね」。下半身だけでなく、上半身の強化もにらんだ。

 千賀や東浜、岩崎といった台頭組に「卒業」はない。強化を継続する方針で、その下の世代として、2年目の松本裕樹、ルーキーの高橋純平といったドラフト1位の逸材も強化指定される可能性はある。

 「投手コーチの人数を考えても、全員に行き渡ってトレーニングするのは難しい。グループ分けして、やってもらうことになる。本人にしっかりと説明して、やってもらうのが大事だ」。打倒日本ハムに向けて、補強にも動くが、若い世代の力も必要不可欠。落ち込んでいる暇はない。宮崎で行われる「工藤塾」がV奪還の土台を作る。【田口真一郎】