伝説の4番になれ! 阪神が20日、都内で行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で大学日本代表の4番を務めた白鴎大・大山悠輔内野手(4年=つくば秀英)をサプライズで1位指名した。大学時代は右肩を脱臼しながら試合出場を続けたド根性男。金本知憲監督(48)も栃木・小山市の同大学まであいさつに訪れ、右の大砲として熱い期待を伝えた。

 油断していた。大山はテレビ画面から目をそらしていた。白鴎大キャンパスの一室。阪神のドラフト1位指名に会場が「ええ~っ」と沸き上がる。「1位は正直予想していなかった。何が起こったのか分からなくて…」と照れ笑い。サプライズ指名に感謝し、気合を入れ直した。

 大山 野球をやってきた中で、選手生命に関わるケガはしたことがない。骨折とかもないです。金本監督は骨折していてもヒットを打っていた印象がある。それぐらい強い覚悟を持ってプレーしないといけない。金本監督のような強い体を身に付けて、何年も長くやっていきたいです。

 大学通算16発を誇り、大学侍ジャパンで4番も務めた。アマ球界屈指のスラッガーは鉄人魂の持ち主でもある。大学2年夏、スライディングした際に利き腕の右肩を脱臼しながら試合出場を続けたという。「打つ方はできたので、ずっとDHで出させてもらっていました」。

 実はこれまで本格的なウエートトレーニングを経験していない。金本監督は「今までしたことがなくてあの能力なら、すればもっとスピード、パワーがついてくる。もっと楽しみになりました」とニヤリ。計り知れない強靱(きょうじん)ボディーは伸びしろ十分だ。

 本職は三塁手。遊撃、二塁も難なくこなし、1年目からのレギュラー争いにも期待がかかる。「出られるなら、どこでもやります。阪神は若手を起用しているイメージ。チャンスをもらえたらアピールしてつかみ取りたい」と力を込める。

 大山 同世代の藤浪、北條選手は高校時代、雲の上の存在だった。2人はずっと活躍している。一緒に負けずにやっていきたい。

 つくば秀英時代は甲子園の土を踏めず。大阪桐蔭エース藤浪、光星学院の主軸北條は比較対象にもならないスーパースターだった。ようやく同じ舞台に足を踏み入れる今、夢がある。

 大山 高校でも大学でも優勝したことがない。侍ジャパンの時ぐらい。マウンドに集まってワーッとなるのをやってみたいと、ずっと思っています。

 私生活では目立ちたくない性格。素朴で柔和な笑顔が目立つ好青年も「野球では目立ちたい」ときっぱり。大山が超変革の申し子となれば、虎の未来は明るい。【佐井陽介】

<大山悠輔(おおやま・ゆうすけ)アラカルト>

 ◆生まれ 1994年(平6)12月19日、茨城県。

 ◆元二刀流 宗道小1年から宗道ニューモンキーズで野球をスタート。千代川中では軟式野球部に所属し全国大会3位も経験。つくば秀英では投手兼遊撃手でフル回転し、2年夏に県大会8強。甲子園出場はなかったが、高校通算27本塁打、投げても140キロ超。

 ◆侍ジャパンの主砲 白鴎大では1年春から三塁レギュラー。4年春は14試合出場で関甲新学生野球リーグ新記録の8本塁打、同タイ記録の20打点。侍ジャパン大学代表の4番も務めた。20日現在で大学通算98試合、打率3割2分、16本塁打、93打点。

 ◆目標 ソフトバンク松田。「同じ三塁手で勝負強くて長打もある。ヤクルト山田選手は打席に入っただけで雰囲気が変わる」。幼少期は巨人松井秀喜、高橋由伸のファン。

 ◆好きな女性タレント 石原さとみ

 ◆音楽 ケツメイシ

 ◆意外と… 小食。好物は焼き肉。

 ◆座右の銘 向上心。

 ◆身体能力 遠投110メートル、背筋力205キロ。50メートル走6秒2

 ◆サイズ 181センチ、85キロ。右投げ右打ち。

 ◆家族 父正美さん(49)母理紗さん(33)妹亜美さん(19)弟悠翔さん(10)妹桃果さん(7)

 ▼阪神は昨年の高山俊外野手(明大)に続き、2年連続で野手を1位指名。高校生ドラフトを除くと、96年今岡誠内野手、97年中谷仁捕手(いずれも1位)、03年鳥谷敬内野手、04年岡崎太一捕手(いずれも自由枠)以来、3度目。バッテリー以外の選手を2年連続は、高校生ドラフト以外では史上初となった。また、他球団と入札が競合せず単独指名となったのは、11年の伊藤隼太以来、4年ぶり。