1日にFA権行使をオリックスに通知した糸井嘉男外野手(35)に対し、獲得に乗り出すことが確実な阪神が明日4日、キャンプ地で「首脳会議」を開き、最終戦略を練ることになった。同日、坂井信也オーナー(68=電鉄本社会長)が高知・安芸の秋季キャンプを視察。その後、金本知憲監督(48)も出席し、本社、球団トップの4者会議を開く。今オフ補強の大本命に糸井を位置づけるだけに、球団が一丸となって獲得に臨む。

 阪神が今オフ最大の補強を実現させるべく、キャンプ地で異例の「糸井会議」を開催する。明日4日に、本社の総帥である坂井オーナーがキャンプ視察のため、安芸に入る。練習後には、高知県内のチーム宿舎で金本監督と会食する予定だ。出席メンバーは厳選する方向で、四藤慶一郎球団社長、高野栄一球団本部長を加えた4者会談となる模様だ。

 席上で来季のチーム編成が議題に上がる。クリーンアップを任せられる新外国人の選定作業とともに、FA権行使の意思を表明したオリックス糸井がメインテーマになるのは確実だ。今オフは外野手のFA市場が豊作とも言える。球団は来季の巻き返しのために攻撃力アップを補強の最優先事項に掲げる。水面下で調査を続け、ここまでに走攻守3拍子そろった糸井にターゲットを絞った。流出阻止を目指すオリックスは4年最大18億円(推定)の大型契約を提示し、慰留に努めている。阪神球団首脳は「条件面も含め、十分に誠意を尽くす」と話しており、オリックス側に匹敵する条件を用意する方針だ。環境面でも背番号3の提示を検討するなど、物心ともに全力を注ぐことになる。

 糸井が自らの意思を表明した後、初めて開く首脳会議では、獲得に向けた戦略の最終調整が行われる見通しだ。交渉解禁日となる11日の即日アタックで猛烈ラブコールを送り、金本監督の直接出馬も検討されている。FA移籍経験者の上に抜群のカリスマを誇る指揮官がいかなる「口説き文句」を用意するかも、会議の話題に上がる可能性は十分にある。球団と現場のトップが意思疎通を図り、獲得に向けた盤石の態勢を敷く。虎の糸井誕生へ、ストレートに思いをぶつけ、目玉補強の実現を目指す。

<糸井を巡るFA経過>

 ◆9月13日 糸井が3月28日に取得した国内FA権の行使を検討していることが分かった。同時に阪神も今オフのFA補強に向け調査していることが判明。

 ◆10月21日 オリックスが糸井に4年最大18億円の大型契約を提示していることが判明。複数回の残留交渉を重ねながら、糸井は「まだ決められない」と態度を保留していた。

 ◆10月24日 阪神が糸井がFA宣言した場合、獲得に参戦することが判明。ここまでの調査でオリックスと同等の4年契約や、金本監督の出馬を検討するなどVIP待遇を準備していることが分かった。

 ◆10月26日 日本シリーズの勝敗から、FAスケジュールが確定した。阪神は糸井がFA宣言した場合、11月11日に決まった交渉解禁日の即日アタックを視野に準備することが判明。

 ◆10月30日 阪神が糸井に背番号3の提示を検討していることが分かった。直近は長崎啓二、八木裕、関本賢太郎がつけた神番号。糸井の希望に添えるよう、スラッガーにふさわしい番号を空位のまま用意した。

 ◆11月1日 FA権行使申請が始まって2日目。糸井が「夜も眠れないぐらい考えて」、FA権の行使をオリックスに通知。阪神は水面下の調査で「うちは全くダメという報告は聞いていない」と脈ありの感触を得ていることが分かった。