日本ハムのドラフト3位、九産大・高良一輝投手(22)が、開幕1軍を見据えた「冬支度」を整える。10日、福岡市内の同大で契約金5000万円、年俸900万円で仮契約を結んだ。未経験の北海道の寒さに不安をのぞかせながらも、力強く開幕1軍を目標に掲げた。(金額は推定)

 プロ入り後の自分を思い描いていた。仮契約を結んだ高良は、「開幕1軍を目指して頑張りたい」と目標を掲げ、気持ちを高ぶらせた。最速148キロの直球とスライダー、カーブ、スプリットを武器に緩急と角度ある投球が魅力の、本格派右腕。狙うは同学年の大谷や、有原らひしめく、先発ローテーションの一角だ。

 りりしい顔つきとは裏腹に、未知の世界に不安も抱えていた。沖縄・豊見城市出身の島人(しまんちゅ)の、本音がこぼれた。「寒さは(今の)福岡で限界を感じている。想像出来ない」。今月下旬には、新入団歓迎式典参加のため球団が本拠地を置く札幌へ赴く。ダウンコートなどの冬服は手元にはゼロ。これまで春先の北海道には家族旅行や遠征などで3度訪れているが、冬本番の北海道は初体験となる。「羽織る物はないので買わないと」と、一足早いプロの“洗礼”に向けて、備える。

 裸一貫で、狭き門の突破を目指す。10年ぶりの日本一になった広島との日本シリーズは、テレビを通して観戦した。日本一チームの投手陣の仲間入りへ、等身大で挑む。「球が速い投手が多いけど、自分の特長は打者との駆け引き。球速にこだわりはない」と、培ってきた投球術を最大限に生かして勝負する。原田豊アマスカウト(58)は「投手としての完成度の高さは、挙げればキリがない。先発としてやっていける」と太鼓判を押す。北の大地で、ルーキーイヤーを熱投で沸かす。【田中彩友美】