超人が鉄人のラブコールにメロメロ!? オリックスから国内FA宣言した糸井嘉男外野手(35)が11日、大阪市内のホテルで獲得を目指す阪神との初交渉に出席。金本知憲監督(48)から「初めての恋人や」との“殺し文句”を受けたことを、感激した様子で明かした。阪神移籍かオリックス残留か二者択一の様相。結論は保留したが、会見では気持ちが傾いたかのような笑顔だった。

 糸井はずっとにやついていた。1時間足らずの初交渉を終えた直後の会見。金本監督の熱気あふれる説得を思い出してか、何度も笑みをこぼした。

 「勝つために必要な戦力だと言ってもらえた。(条件は)いい評価をしてもらった。(金本監督に)キャンプ中にわざわざ来ていただいて、熱い言葉をもらいました」。クールに見せるが誰よりも負けず嫌い。そんな熱い超人が、キャンプ地高知から駆けつけた鉄人と融合し、心がグラリと傾いたような笑顔だった。

 そして「熱い言葉」の中身は…。「必要な戦力ということと、初めての恋人やと言ってもらえました」。そう明かすと、たまらず白い歯もこぼれ出た。「エヘヘ…。選手としては、そういう言葉はすごくうれしく思います」と、再び感謝の気持ちが口をついた。

 糸井は日本ハム時代から育ててくれたオリックス福良監督を「お父さんみたいな存在」と言う。金本監督に対しても、また違う尊敬の念を抱いていた。

 「やっぱり僕の中で、すごい選手というのがある。(交渉して)むちゃくちゃ緊張しました」

 金本監督は現役時代に連続フルイニング出場の世界記録を達成した。一方で糸井も、試合に出続けてナンボとの思いがある。今季10月1日のシーズン最終楽天戦は、首脳陣から休養を打診された。だが全143試合出場がかかっており「行きます」と回答。仙台に行き、最後までチームの一員として戦った。

 「帰ってしっかり考えて、整理して返事したい。自分の野球人生なんで、しっかりと考えて答えを出したい」。FA表明した7日には「早い段階で」と早期決着を予告したが、結論はいったん保留した。この日はオリックス側にも連絡しなかったようで再び熟考モードに突入。それでも虎の指揮官からの熱すぎるラブコールに、ハートが揺さぶられたことは確かだ。【大池和幸】