大学の部準々決勝で、東海大北海道はDeNAドラフト2位のエース水野滉也(4年=札幌日大)が大乱調で、6月の全日本選手権に続いて8強止まり。1回1死一塁で、同中日2位の日大・京田陽太遊撃手(4年=青森山田)に先制の適時三塁打を許すと、本来の投球を取り戻せないまま、3回途中8安打4失点でマウンドを降りた。“ドラ2対決”で敗れた横手右腕はプロでの雪辱を期した。

 わき上がるような喜びはなく、苦しみだけが胸を占めた。先発した東海大北海道のエース水野は「真っすぐが思っていたより走らず、変化球に頼るしかなかった。いつもは楽しく投げているのに、今日は苦しいとしか思わなかった」。悔しさが募った73球。6月の全日本大学選手権に続き、チームを全国8強へ導いた横手右腕は、やり切れない表情で大学ラストゲームを終えた。

 立ち上がりに、試練が待っていた。1回1死一塁で「意識していた」という中日ドラフト2位の日大・京田を打席に迎えた。フルカウントからの7球目。「カウントを悪くして、プラン通りに投げられなかった」と、外のスライダーを左中間へ運ばれた。続く4番打者にも二塁打され、この回2失点。逆方向への連続長打に、気持ちを立て直せなかった。

 体質で、へんとうが腫れやすい。大会直前に高熱を出し、念のためインフルエンザ用の点滴まで打った。検査の結果、ただの風邪だったが、高橋葉一監督(51)は「ベストとは、程遠い。自己管理不足」と手厳しい。年間通してコンディションを維持する難しさを知った背番号18は「春と比べて全体的に球威がなかった。先発の役目を果たせず、チームに申し訳ない」と、敗戦の責任を背負った。

 京田とは来季プロ入り以降、同じセ・リーグで再戦の可能性もある。「次はしっかり借りを返せるよう、練習していく」。プロでの明確な目標が、ひとつ出来た。【中島宙恵】