阪神金本知憲監督(48)がFAでの獲得が決まった糸井嘉男外野手(35)を来季、中堅で起用することを明言した。22日に大阪市内のホテルで行われた球団納会に参加。「センター一本で考えている。孝介も外野に専念できる」と明かした。一塁プランもあった福留孝介外野手(39)は、右翼を軸に起用する方針。守備力の高い糸井-福留のベテランコンビに右中間を託し、「骨太」なチームを作る。

 抜群の守備力を誇る糸井を、広い甲子園のどこに配置するか。金本監督は即答した。「センター一本で考えている」。オリックスでは右翼が定位置だった。来季は屋外球場が主戦場になる。中堅で不安はないのか。「本人にも聞いたよ」とすでに意向を確認していることも明かした。答えはイエス。「どちらでも違和感はありません。やりにくくないです」。これでセンターラインに置くプランが固まった。

 これにより、もう1つの懸案も解決した。「孝介も外野に専念できる。本人も専念したいということだったから」。この日までに指揮官は福留と会談し、意見を聞いていた。故障のリスクも考え、一塁のコンバートも提案したという。福留の外野へのこだわりを尊重。「故障がちになれば、ファーストもあるということは頭に入れておいてくれ」と話し、来季も右翼を任せる結論に至った。これで糸井-福留の右中間が確定。ベテランの域に達した2人だが、守備力は今なお高水準にある。今季の阪神外野陣はリーグ最多の15失策を犯しただけに、鉄壁コンビの結成は心強い限りだ。

 金本監督はこの日行われた球団納会で、壇上からこんなあいさつをした。「結果、4位に終わりまして。責任を本当に感じております。けれど、この悔しさを絶対に忘れないように。カープが強かろうが、ジャイアンツが強かろうが、関係ない。向かっていきましょう。来年優勝するために、怖がらずに立ち向かっていきましょう」。

 超変革をスローガンに、1年目は若手を積極登用した。だが、それだけではリーグ制覇はできない。若手とベテランの力を結集し、ペナントレースを勝ち抜く決意だ。「強い者に勝って、人間は強くなる。心技体を骨太にしないと1年間は戦えない」。秋季キャンプでは徹底的に若虎を鍛えた。2番構想も抱く糸井をセンターラインに組み込み、本気で優勝を狙いにいく。【田口真一郎】

 ◆福留の外野守備 ゴールデングラブ賞5度獲得を誇る。99年の中日入団後に内野手から本格コンバート。打者の特徴や天候を見極めた位置取りに加え、浅めの当たりなら果敢に一塁へ送球しライトゴロを狙う。15年は守備率10割で阪神移籍後初のゴールデングラブ賞。39歳の今季も5補殺を記録するなど健在だった。

 ◆糸井の外野守備 09年から6年連続、今季は2年ぶり7度目のゴールデングラブ賞で、16年受賞者の中で最多となった。剛速球投手として入団した強肩を生かした、バックホームも売り物だ。11年まで主に中堅を守り、以後は主に右翼。今季、史上最年長盗塁王に輝いた俊足も駆使した広い守備範囲も期待される。