日本ハム大谷翔平選手(22)が、早ければ来オフのメジャー移籍を球団から容認された。5日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、ポスティングシステムを利用してのメジャー移籍が話題に上り、球団から大谷自身の意思を尊重する姿勢を示された。更改交渉は今季の2億円から7000万円増の2億7000万円(推定)でサイン。高卒5年目では、08年のダルビッシュと並んで球界史上最高額となった。

 40分間に及んだ交渉の大半を費やしたのは、今後のメジャー移籍についての話だった。大谷は晴れやかな表情だった。「自分が行きたいと思ったときに、その意思を尊重してもらえる、応援してもらえるという話をしていただいた。うれしいというか、ありがたいなと思いました」。花巻東時代から憧れたメジャーリーグ。入団4年目を終えて初めて、球団側と直接意見を交わし、ポスティングでの移籍を容認された。

 切り出したのは球団側だが、大谷にも「驚きはなかった」。今季は、コンディション不良で先発ローテを外れる時期もあったが、10勝(4敗)、防御率1・86と安定。打者でも打率3割2分2厘、22本塁打をマークし、史上初めて投手&DHでベストナインに選出されMVPを獲得した。チームは10年ぶりの日本一。貢献度や、球界を代表する選手としての将来を考慮し、球団はこのタイミングで話し合うのが適切だと判断した。

 米各球団は継続的に視察にも訪れ動向を注視している。移籍を希望する時期について、大谷は「明確な基準はない。個人的な技術も必要になる。成績うんぬんは関係なく、行きたいと思えば」と話した。早ければ来オフの移籍が実現する。「今日は来年どうこうという話ではないです。(来季は)100%ファイターズのために、優勝できるように。来年日本一になるのが一番の目標」と目の前の2連覇に全力を注ぐ。

 進化を続ける投打二刀流。投手としての評価が先行していた米球界の見方も、変わりつつある。大谷は二刀流でのメジャー挑戦について「それは(米球団が)僕をどう見ているかだと思います。それを含めて交渉になると思う」。二刀流のまま海を渡ることが、最大の挑戦になる。

 来季年俸2億7000万円は、08年のダルビッシュと並んで高卒5年目史上最高。ダルビッシュとは今オフも合同トレを行っており「WBCもあるので、(メジャーの)マウンドや気候、ボールについて」質問しているという。大谷の夢、さらには野球ファンの夢へ向かって、17年シーズンは、大切な1年になる。【本間翼】