【ホノルル(米ハワイ州)12日=田中彩友美】日本ハム栗山英樹監督(55)が「大谷増殖計画」の青写真を描いた。10年ぶり日本一を成し遂げ、優勝記念旅行先のハワイに到着。今季、DH解除の「リアル二刀流」で存在感を示した大谷翔平投手(22)のように、野手練習が投手育成につながると考え、他選手にも積極的に二刀流イズムを注入する考えを示した。

 南国の空の下、栗山監督が壮大な夢を語り出した。笑顔で「勝手な妄想だけど」と前置きし、語り出したのは「大谷増殖計画」の一端だった。「オレは翔平を通して学んでいる。うちの投手、みんな二刀流出来る。冗談じゃないよ」。球界の常識を覆し続けてきた「二刀流」のさらなる展望は、若手投手に野手練習も取り組ませるプランだ。

 飛躍を期待し、名指ししたのは、150キロ台の快速球が武器の3年目白村や昨年のドラフト1位の大型左腕、上原。「(2人は)身体能力が高いし、投手としてこれから形になっていく。(投手と野手で)逆の動きがわかる」と効果を口にする。2人を筆頭に若手が対象になる。

 投手が打撃や走塁の練習に加わることで、技術に幅を持たせることが狙いの1つ。野手の動きを理解し、視野が広がることにもつながる。今季、大谷の走塁時の全力疾走は何度もチームを鼓舞してきた。投打両方の取り組みが、意識向上、スキルアップにつながると信じている。

 「二刀流」は大谷の代名詞だが、大谷が独占する必要はない。日本一に輝いた自慢の投手陣なら、どの選手でも挑戦が可能と、栗山監督は言う。大谷と歩んできた4年間は、常識との闘いだった。周囲の雑音が大きくても、迷いなく突き進んできた。「二刀流」だった明大を経て、入団後に野手登録した岡を1度、ブルペンで投球練習させたこともあった。ケガのリスクなどを考慮し「二刀流」は断念したが、大谷以外でも模索したことがある。

 栗山監督は野球の未来をも見据える。「二刀流の使い方は、これからの野球界に出てくる。今の子どもたちにも(二刀流は)出てくるから」。野球の新しい可能性を広げたい。日本一の指揮官の青写真はハワイの空同様、どこまでも広がっていく。