ハッピー・ニュー・セイヤー!! 広島鈴木誠也外野手(22)が日刊スポーツの新春インタビューで、2017年の誓いを熱く語った。チームの連覇と日本一、そして日本代表として迎えるWBCでの世界一-。16年とともに「神ってる」自分にも別れを告げ、新しいシーズンに新しい選手像を切り開いていく。

 2017年は、鈴木にとって大事な1年となる。ブレーク翌年であり、日本代表としてWBCに出場する。広島、そして日本のキーマンは冷静に、落ち着いて新年の決意を語った。

 「大事ですよ、もちろん。でも僕の中では毎年大事。昨年も、2軍にいた年もそう思ってやってきた。プロ野球は結果がすべてかもしれませんが、自分がこうなりたいと思うものに向かってやっている。そのための1打席、ワンプレーだと思っています」

 昨年の契約更改会見では「打率10割、200本塁打、1000打点」と、途方もない目標を挙げた。好成績を残しても、変化することを恐れない。

 「あれは究極です。届かないでしょうけど、近づけるように1日1日大事に練習している。今のままだと、今のままで終わってしまう。(変えることに)迷いも怖さもないですけど、自信もないです。ただ、何かを変えないと上には行けない。それが打ち方なのか、気持ちなのか分からない。でも、こうなりたいという目標設定を変えるだけでも変わることがある。昨年も打ち方はそれほど変わっていないけど、考え方が変わったことが大きかった」

 昨年11月に初めて選ばれた侍ジャパンで、22歳が得たものも多かった。

 「最後の打席で結果が出たのも、自分の考え方を変えたからだと思う。オフの過ごし方も変わりました。同学年ですけど(日本ハム大谷)翔平は普段の生活からすごい。自分の体のことを知っていて、自己管理が徹底されている。勝ち負けではなく、野球人として純粋に尊敬できる。ただ、僕が女性なら結婚は絶対にしたくない(笑い)」

 16年は優勝したチームの主力として、ベストナインやゴールデングラブ賞を受賞。飛躍の1年となった。

 「考え方ひとつで変わるということが分かった。いい結果が出ると、どうしてもその形がいいと思ってしまい、それを求めてしまう。でも、どんどん新しいものに進化しないといけないと思えたら、自然と変わっていった。捨てる勇気も大切だということを学んだ。(17年は16年の自分を捨てる)そうです。また新しい自分、進化した自分に出会いたい」

 今や人気、注目度は全国区。周囲の期待は高まる一方だ。

 「そうやって期待されると、ようやくプロ野球選手になれたのかなと思う。僕も小さいときにイチローさんや松井さんは絶対打ってくれると思って見ていた。野球人として、もっともっと期待されるようになりたい。チームの連覇、日本一にも貢献したい。親善試合でもすごく緊張しましたが、WBCの本大会はまた別だと思う。めったに行けるものではない舞台で、野球ができるのは幸せ。選ばれた者しかできないことなので、悔いのないよう1打席1打席集中して、少しでも世界一に貢献したい。周りからは、WBC後のシーズンは難しいと言われます。みなさんやってきたことなので気にしていませんが、もし結果が出なかったら、それを言い訳にします(笑い)」【聞き手=広島担当・前原淳】

 ◆鈴木誠也(すずき・せいや)1994年(平6)8月18日、東京都出身。二松学舎大付から12年ドラフト2位で広島入団。16年は春キャンプで右太もも裏を痛めて出遅れ。4月5日に1軍昇格すると、6月17日からのオリックス3連戦で3試合連続決勝弾。緒方監督からたたえられた「神ってる」が流行語大賞に選ばれた。その後は5番に定着し、打率3割3分5厘、29本塁打、95打点。3月のWBCでも日本代表入り。181センチ、87キロ。右投げ右打ち。