DeNA平良拳太郎投手(21)が古巣・巨人から白星を収め、新天地での開幕ローテ入りに前進した。

 25日、故郷の沖縄でオープン戦の開幕投手を務め、5回無四球で無失点に抑える好投を見せた。今季、巨人へFA移籍した山口俊投手(29)の人的補償で入団。同期入団の田口との投げ合いを制し、成長を見せつけた。

 物静かな口調とは裏腹に、マウンド上では堂々たる投げっぷりだった。感情をようやく出したのは最後の66球目。5回1死一、二塁で、1番立岡をシンカーで併殺打に仕留め、グラブを大きくたたいた。丁寧に低めを突く投球は最後まで乱れず、最速144キロで無四球。昨季まで味方だった打線を5安打無失点に抑え「腕を振って投げることができた。100点に近いくらい。ホッとしています」と正直な気持ちを吐露した。

 ターニングポイントはいつも故郷で迎えた。沖縄自主トレ中だった1月4日午後5時過ぎ、電話が鳴った。FA移籍の人的補償選手としてDeNAへ移籍を伝えられた。翌日には帰京して会見。「巨人にいたときよりも、いい投球ができるようになったと思われるようにしたい」と受け入れた。古巣との直接対決が決まってからも気持ちは同じ。同期入団の田口との投げ合いとなり、前夜にはメールで「お手柔らかにお願いします」と控えめな挑戦状を届けていた。

 沖縄・北山高3年だった4年前、1度はDeNAとつながりかけていた。招待試合で登板した際、この日と同じ沖縄セルラー那覇にDeNA高田GMが視察。力強い投球に評価を高め、ドラフト指名される可能性もあったが、巨人での3年間を経て入団。原点の場所で成長を証明し、開幕ローテ入りへ大きく前進した。好投を見届けたラミレス監督は「先発ローテを競っている。この調子でやってもらって、また考えたい」と候補の1人に入れている。

 順当にアピールを続ければ、4月4日からの本拠地開幕カードで再び古巣を相手に投げる可能性が高い。「今日、初めて(DeNAの)応援を聞いて、すごく背中を押された。あそこ(横浜スタジアム)で投げられるようにしたい」。身も心も、チームの一員になった。【栗田成芳】