遊撃争いに強烈な先制パンチや! しかも、2発や! 阪神北條史也内野手(22)が、オープン戦初陣となった日本ハム戦(名護)で2本塁打を放った。阪神では昨季公式戦で1試合2発は1度しかなかったが、いきなりやってのけて猛アピール。今日26日の中日戦にはライバル鳥谷が出場予定。いよいよ遊撃争いが本格化する。

 海と白球のコントラストが映えた。3回1死一塁。北條がカウント1-1からの3球目を強振。一塁走者の江越がスタートを切った中で、外寄りのツーシームを仕留めた。快音を残した打球は追い風にも乗り、透明度ある海が望める左中間席に飛び込んだ。先制2ラン。「センター返しを意識していた。風にも乗ってくれた」。チーム1号だけでなく、17年オープン戦最速弾。16年日本一の日本ハム相手に11得点圧勝劇の幕を開けたのは、背番号2のバットだった。

 鳥谷との遊撃争いの先制パンチは、1発では終わらなかった。他球団007をうならせたのが、8回に放った2本目。内角直球に対応。両腕が伸びて力を伝えやすいコースを捉えた1発目とは違い、腕をたたみながら体をクルリと回転させ、左翼ポール際へ運んだ。中日佐藤スコアラーが言う。「内角をうまくスライス気味に打てていた。あの打球をされるのは嫌」。フェード回転をかけるように内角球をさばく、ファウルにならない技術が詰まった一打に驚きの声が上がった。

 阪神で昨季公式戦に1試合マルチ本塁打を記録したのは、7月28日ヤクルト戦で2発を放ったゴメスの1度だけ。オープン戦初戦から2発を放ち「1年前より振れる力が付いた」と金本監督に大きなインパクトを与えた。その成長に目を見張る指揮官は、もともと打球に角度をつけて飛ばす力があるとし「バントや右打ちよりもそこを目指してやっている」。さらなるスケールアップを求める器だと認めている。

 パワーアップへ、北條も努力を欠かさない。今キャンプ、練習前には連続ティー打撃や筋力強化に汗を流す。宿舎に戻ってからもバットを握って打ち込む日々。今日26日の中日戦からは、遊撃を争う鳥谷が出場予定で、いよいよバトルは本格化する。ヒートアップすればするほど、チーム力も上がる。指揮官は北條について「試合で結果を残してほしいね」。その言葉通り、結果を残し続ければ…。

 北條 春季キャンプから振ることをこなしてきた。でもまだまだです。

 遊撃の座を完全に奪うまでアピールを続けるだけだ。【山川智之】

 ▼阪神打者のオープン戦でのマルチ本塁打は、10年3月21日広島戦(マツダスタジアム)で鳥谷が2本塁打して以来。チーム初戦に限ると、バースが83年3月6日大洋戦(静岡)で2本打って以来、34年ぶり。