インフルエンザB型に感染していた楽天岸孝之投手(32)がチームに再合流した。3月31日、京セラドーム大阪で行われたオリックスとの開幕戦から練習に復帰。ブルペンには入らず、軽いキャッチボールを行った。3日ほど体力の回復に専念したあと、本格的な練習を再開する。梨田昌孝監督(63)はじめ首脳陣も焦らせるつもりはなく、今季1軍初登板は4月14日からの日本ハム3連戦(コボスタ宮城)になりそうだ。

 誠実な男だけに、心の底からすまなそうな表情だった。チームに再合流した岸は、今年1年一緒に戦う仲間に、頭を下げて回った。「チームに迷惑をかけて本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」。体力が落ちているだけに、ランニングしただけで息が上がる。それでも、則本と並ぶ投手陣の柱の復帰をチームメートは温かく迎え入れた。

 3月25日に都内の病院で検査を受け、「インフルエンザB型」と診断された。「最高で37・6度の熱が出た」。すぐに自宅療養に入り、初めて外出したのが3月30日。チームとは別に大阪入りした。その間、梨田監督におわびの電話を入れ、岸の代役として開幕投手になった美馬にも直接謝罪した。

 確かにチームとしては痛いアクシデントだった。先発3番手の位置付けだった安楽智大投手(20)が、3月22日に右大腿(だいたい)二頭筋部分を損傷し、翌日に全治6~8週間と診断。直後に、開幕投手に内定していた岸がインフルエンザにかかった。期待していた2人が開幕直前に抜け、開幕投手になった美馬の当初の位置付けは先発6番手。梨田監督もこの日「(2人のアクシデントは)ショックだった」と本音を打ち明けた。

 しかし、起きてしまったことはしょうがない。「シーズンにはある試練が最初に訪れた」(梨田監督)と気持ちを切り替えた。岸の1軍登板時期についても「本人に聞いてみてからだが、当分はない」と断言。長いシーズンを見据え、無理はさせない方針だ。

 与田剛投手コーチ(51)も「3日間は様子をみたい」と話した。岸が本格的に練習を再開するのは来週以降になる見込み。試合登板にはさらに1週間程度は必要とみられ、楽天での1軍デビュー戦は、14日からホームでの日本ハム3連戦になりそうだ。【沢田啓太郎】