絶好調だ! 楽天銀次内野手(29)が2-0の6回、無死一、二塁から右中間への適時二塁打を放ち、今季5度目のマルチ安打を記録した。開幕から5番に座り、打率3割7分2厘。得点圏打率は12球団トップの7割1分4厘だ。先発の美馬学投手(30)は今季2勝目をマークし、カルロス・ペゲーロ外野手(30)の5号ソロも飛び出すなど投打がかみ合い、チームは日本ハム戦でのカード勝ち越しを決めた。

 迷わずに、銀次は初球からバットを振り抜いた。6回、ペゲーロの5号ソロで2-0とリードを広げ、ウィーラー、アマダーが安打で続き無死一、二塁。「みんな行け行けだった」と勢いに身を任せ、有原の速球を強振した。「どの球を狙おうとかはなかった。自分のスイングをすることだけ考えて打席に立った」。打球は右中間を深々と破る適時二塁打。結果的にこれが、試合を決定付けた。

 今季は無類の勝負強さを発揮する。得点圏では7打数5安打、7割1分4厘。11試合中5試合でマルチ安打を記録する。好調の要因は「バットを大きく振ること」。梨田監督は「試合でしっかりバットを振れるように、練習では遅い球を強引に振り切るくらいに打ってほしい」と注文を付けていたが、銀次は「それは意識しています。練習では、強い打球を遠くへ飛ばすために、振りを大きくしている」。監督が助言せずとも実践するからこそ、信頼され打席に送り出される。

 まるで、昨季とは別人だ。16年は同じ11試合を消化した時点で43打数10安打、打率2割3分3厘。シーズン通しても2割7分4厘と、連続3割が3年で途絶えた。左腕を開け閉めすることでタイミングを取るなど試行錯誤を繰り返したが、納得のいく結果は得られなかった。それが、今季はチームトップの3割7分2厘。タイミングを下半身主導に変え、左腕をリラックスさせた状態でバットを振ることで、銀次らしい弾道の低い打球が増えた。

 チームは日本ハムに連勝しカード勝ち越し。この日も、2万6856人のファンがKoboパーク宮城に詰めかけた。梨田監督は「お客さんが入ってくれて力になる」と感謝を述べる。9勝2敗で貯金は7。チーム、ファンが一体となり、さらに勝ち星を積み上げる。【田口元義】