交流戦Vの切り札は「平野復帰」だ!

 岡田阪神は、6日からソフトバンク、オリックスとの本拠地4連戦。岡田監督は地の利を生かしたラストスパートを宣言した。その“追い風”となるのが、故障者組の朗報だ。右ふくらはぎ痛で戦列を離れた平野恵一外野手(29)が驚異の回復力で早期復帰にメドが立ち、腰痛の安藤優也投手(30)も順調に回復。好調チームの戦力をさらに分厚く整え、優勝賞金5000万円を狙う。

 楽天に雪辱を果たし、空路帰阪した岡田阪神に朗報が待っていた。右ふくらはぎを痛め、交流戦期間中の復帰が絶望視されていた平野が驚異的な回復をみせていた。開幕から2番セカンドでハッスルし、チームに勢いを与えたキーマンが交流戦ラストスパートに合流する可能性が出てきた。

 平野はこの日、雨の鳴尾浜で練習した。ストレッチやトレーニングなど施設内で動いた後、バットとグラブを抱えて室内練習場に向かった。離脱後、初めてとなるゴロ捕球と本格的なマシン打撃に取り組んだ。5月28日ロッテ戦での負傷からわずか8日目での回復ぶりに本人が驚いた。

 「驚異的に回復している。(個所の)固定で2週間、復帰まで1カ月と言われていたのに。あくまで慎重に進めたいですけど、交流戦までに戻りたい」。

 松葉づえにすがりながらグラウンドを去った男が、目を輝かせた。球団トレーナーと相談した上で、知り合いの医師に治療を頼んだ。「詳しくは分からないけど血流を増やす方向で治療した」(平野)。診断名は「筋挫傷」で患部を固定し、冷却するのが一般的な治療方法。だがその医師にゆだねると予想以上に回復した。3日目には歩行し4日目にはジョギングができるなど、スケジュールを大幅に前倒ししている。

 当初は岡田監督も「(時間が)かかるやろなあ」と早くても6月下旬の復帰を覚悟していたが、うれしい修正だ。さらに腰痛の安藤も屋外で初のキャッチボールを行うなど順調で、先発順を1度飛ばすタイミングで戦列に戻れそうだ。

 平野、安藤という開幕からの快進撃を支えてきた主力の復帰が、チームを加速させる。パ・リーグ球団との対決も前半戦を終了。先手を取られながらも地力を発揮し、7勝5敗。仙台空港から飛び立つ直前。岡田監督には、交流戦残り試合のビジョンができあがっていた。

 「(前半は)まあまあやな。これからは4カードが甲子園になる。地の利というか…」。きょう6日のソフトバンク戦から本拠地4連戦。広い外野、左打者を悩ませる浜風、熱狂的なファンの応援。戦い方を熟知しており、有利に運べるのは間違いない。ソフトバンク、楽天、日本ハムの交流戦上位3球団を本拠地に迎えるが、地の利を生かし、さらに平野、安藤が復帰を果たせば、逆転首位の夢が広がる。4年目の交流戦で初優勝すれば賞金5000万円まで懐に…。球団首脳は「使い道は考えていないが、現場と球団の折半になる」と話す。故障組が復帰すればさらに分厚くなる戦力でつかみにいく。