<西武2-2巨人>◇30日◇西武ドーム

 西武-巨人の日本シリーズ再現カードは、互いに譲らず延長12回2-2で引き分けた。西武は8回、昨秋の日本シリーズ第7戦と同様に片岡易之内野手(26)の二塁盗塁で勝負に出たが、巨人阿部慎之助捕手(30)が刺した。延長10回裏、2死一、二塁では片岡が右前打を放ったが中途半端な走塁で勝機をつぶした。シーズン序盤とは思えない緊張感の中での戦いに、巨人原監督は「延長13回から続けたいくらい」と話し、31日の試合で決着をつけたいと意欲をみせた。

 「鮮やかなリベンジ」とまではいかなかったものの、巨人が日本シリーズで敗れた西武に少しだけ借りを返した。7度も無死から走者を出しながら奪ったのはわずかに2点。拙攻の連続でフラストレーションのたまる試合展開となったが、しぶとい守りでピンチを耐えた。勝ち越し点を与えず、引き分けに持ち込んだ。

 パ・リーグ2年連続盗塁王への雪辱の機会は、2-2の同点の8回に訪れた。日本シリーズで成功率10割、5盗塁を許した片岡が1死から中前打で出塁した。マウンドの越智は冷静だった。「片岡さんは絶対に走ってくる。クイックをしっかりやろうと思った」。2番栗山を左飛に打ち取った後、3番中島の初球、予想通り、走ってきた。阿部の送球はやや一塁方向へ流れたが、ベースカバーに入った木村拓が“回転レシーブ”のような軽やかな身のこなしで捕球する際にクルリと体を一回転させながらタッチし、片岡の二盗を阻止した。

 木村拓は「どうしてもアウトにしなければならない場面だったのでよかったです」と満足げに振り返った。伊原ヘッドコーチも「こっちも苦い目にあってるからね。越智のクイックが速かったね。あのクイックなら絶対に走られない」と、絶賛した。越智は9回裏も続投し、第7戦で決勝適時打を浴びた西武平尾と再戦。149キロ直球で空振り三振に仕留め「あまり意識はしないようにしていたけどリベンジという気持ちはあった。よかったです」と笑顔を見せた。

 9回にはサード小笠原が横っ跳びのスーパーキャッチを披露。10回裏のサヨナラ負けのピンチも、ライト亀井が素早い返球で二塁走者の本塁生還を許さなかった。好プレーが続出しただけに、原監督は「明日もう1回、13回表から再開して雌雄を決したいところだね」と少し残念そうだった。31日、日本シリーズで手も足も出なかった岸と対戦する。ドローではなく、胸のすくような勝ち方で決着をつけたいところだ。【広瀬雷太】

 [2009年5月31日8時44分

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