<ソフトバンク3-1オリックス>◇30日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンクの「ミスタースクランブル」高橋秀聡投手(26)がチームの窮地を救った。初回、何と先発大場がわずか8球で危険球退場。大慌てのベンチで、秋山監督が緊急登板を命じたのは入団5年目、今季4試合目の右腕だった。

 「(登板指令は)ブルペンに向かっている途中に聞いた。頭の中は真っ白でした。立ち上がりは汗も出ないほど緊張して、自分の体じゃないような感覚でした」。3番フェルナンデスへの初球に暴投と、本人いわく明らかに「テンパって」いた。しかし、そのフェルナンデスを三振に仕留めると、落ち着いた。マウンドを降りる5回まで無安打投球。昨年8月4日以来となる今季初白星、通算3勝目は連敗中のチームを救う大きな1勝となった。

 「緊張した」というものの、実は過去にもスクランブル登板でチームに貢献している。昨年7月16日。先発予定のガトームソンが右内転筋を痛め登板を回避。代役として緊急先発した高橋秀は、5回まで3安打無失点、毎回の7奪三振と力投した。自身に白星はつかなかったもののチームの勝利に大きく貢献。右腕は「過去にも(緊急登板は)ありますが、準備ができてない状況なので何度やっても緊張しますよ」と照れ笑いを浮かべた。

 2軍での準備が大一番で生きた。今季は2軍生活が長かったが、腐ることなく出番を待った。ケガで別メニュー調整となったエース和田2軍に来ると、誰よりも熱心にトレーニング方や調整方を聞いた。「2軍でしっかり腕を振る練習ができた」と高橋秀。この日の投球練習はブルペンで大慌てで投げた10球と、マウンドでの投球練習を合わせた約20球だけだった。

 それでも「四球はOKと思って、置きにいかず腕だけは振っていこうと思った」と4四球ながら無安打に抑えた。3番手水田以降、森福、摂津、ファルケンボーグ、馬原と鮮やかな継投で勝利へと導いた。ソフトバンクの強さが凝縮された継投でもあった。

 [2009年7月31日11時6分

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