<オリックス5-4楽天>◇22日◇スカイマーク

 オリックスが楽天にオール1点差勝利で、10年ぶりの開幕3連勝を飾った。岡田彰布監督(52)はひそかに用意していた山本-岸田の先発ローテ投手による継投で勝負。4回から登板の「第2先発」岸田が6回1失点と力投すれば、ラロッカが6回に逆転2ラン。開幕スタメンをはく奪したカブレラは今季初の一塁で好守をみせた上、8回に2戦連発となるソロ。すべてがはまる采配で、01年6月以来の単独首位に立った。

 1点差に迫られた9回2死一、二塁。岸田が昨年の首位打者、鉄平を三振に取ってゲームセット。選手会長の日高がガッツポーズで跳びはね、優勝したかのように駆けてきた。岸田は「びっくり。すごいダッシュでした」。ただ、岡田監督は「どっちみちこういう展開になると思てた」と言うから驚きだ。

 8日前の14日朝、山本-岸田の継投策がひらめいた。「バスの中で思いついたんや」。山本の先発は既定路線だったが、岸田のウエスタン登板をやめた。「モチベーションも上がらんやろうし」。昨年10勝右腕の胸の内を計算し、第1回WBCで王ジャパンが用いた「第2先発」を決めた。

 試合中にも“岡田カンピューター”が働いた。山本が3回7安打3失点と打ち込まれ、「(イニング数は)5、4のつもりやったけどな」。調子の出ない「第1先発」から失点のにおいを感じ、急きょ3回、6回へプランを変更。その岸田が1点ビハインドの中、我慢強くゼロを並べて、味方の反撃を待った。

 2回以降、楽天永井に封じられた打線は6回にベンチ前で組んだ円陣で目覚めた。左前打のカブレラを一塁に置き、ラロッカが今季1号となる逆転2ランを左翼席へ。さらに8回はカブレラが「とにかく打点を、追加点をと思った」と2戦連発となるソロ。結果的にこの1発が試合を分けた。

 開幕戦でDHを拒否したため、岡田監督はカブレラのスタメンをはく奪した。2戦目はDH、そしてこの日は大好物の4番一塁を与えた。本人は7、8回と好守備を見せてご機嫌だったが、背後に操縦かんを握る指揮官の存在が見えた。

 岡田監督が生まれた57年の巨人以来の、オール1点差の開幕3連勝。「一番いい形やないか。1点差で勝ちを拾ったんやから、ものすごく大きい」。01年6月3日以来の単独首位の話題には「3試合でそんなん、フッ」と笑って軽く流した。ただ、昨年悔し涙を流したナイン、ファンは大きな自信をつけた。【押谷謙爾】

 [2010年3月23日8時18分

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