<中日5-4ロッテ>◇4日◇ナゴヤドーム

 中日が悔しさを晴らす“サヨナラ返し”だ!

 3点差の8回に和田一浩外野手(37)の17号3ランで同点に追いつくと、延長11回にトニ・ブランコ内野手(29)のサヨナラ打で死闘にピリオドを打った。2日のオリックス戦(スカイマーク)では7点差を逆転されるショッキングな大逆転サヨナラ負けを喫した。2試合連続となる延長戦で今度は痛快なサヨナラ勝ちだ。

 大男が一塁ベース付近でもみくちゃにされた。4-4の延長11回、2死二、三塁。小林宏のスライダーをブランコが確実にはじき返した。打球は三遊間を抜けて左前へ。今季7度目のサヨナラ勝ち。「チームの勝利に貢献できてうれしい。ボールをよく見てジャストミートだけを心掛けたよ」。ナインからウオーターシャワーを浴びせられた主砲は、無邪気に笑った。

 土俵際から押し返したのは、5番和田の豪快な同点アーチだった。3点ビハインドの8回。2死一、二塁で薮田のチェンジアップをつかまえた。打球は高々と舞い上がり左翼席中段に飛び込んだ。「ど真ん中に来たので思いっきり振りました。大事なところで打てて良かった」。試合を振り出しに戻す17号3ラン。普段は派手なパフォーマンスとは縁遠い男が、振り抜いたバットを放り投げた。

 悔しさをバットに込めた。8回裏に7点差を追いつかれ、延長戦でひっくり返された2日オリックス戦(スカイマーク)。和田は同点で迎えた9回打席に代打を送られた。延長11回のサヨナラ3ランをベンチからぼうぜんと見つめた。悔しさを振り払うように真っ先に帰りのバスに直行した。

 この日は延長11回までフル出場した。オリックスからロッテと相手は変わったが、まるでやり返したかのような8回同点→延長サヨナラ勝ちのシナリオに、はち切れそうな笑顔で一塁ベースに駆け寄った。

 「好きだね。長い試合。あれがなきゃ、とうに終わってるよ。今ごろ、家に帰って寝てるよ」。インタビュールームで苦笑いを浮かべた落合監督は、和田の3ランを褒めちぎった。和田は「ああいう試合をしていたので絶対に勝ちたかった。このまま負けるとズルズルいきそうだったので」と笑顔で車に乗り込んだ。神戸で屈辱にまみれた中日ナインを和田のバットが解き放った。【桝井聡】

 [2010年6月5日10時34分

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