横浜村田修一内野手(29)が、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使することが濃厚となった。26日、神奈川・横須賀市内のベイスターズ総合練習場での秋季練習後、FA権を行使しない可能性について「考えないこともないが、それをするには時間が少なすぎる」と話した。売却問題が表面化し、球団との話し合いは全く進んでいない。横浜への愛着を感じつつ、権利行使へと傾いているようだ。

 村田は迷える心を隠さなかった。今季取得した国内FA権を行使するか否か?

 「自分自身のことが分からない。迷っています、正直」と揺れる心中を明かしながらも、行使せずに横浜に残留する可能性を問われると「考えないこともないが、それをするには時間が少なすぎる。分かりません」と答えた。「(31日に始まる秋季キャンプの)奄美大島で話をしても、そこが1回目では時間が少ない。8年かけて取った権利を1週間で決めるのは難しい。分からない」。決断の時期が迫りながらも、最優先と考えている横浜との残留交渉は一向に進まない。戸惑いながら、行使に傾きつつある心境をのぞかせた。

 25日、チームメートの内川聖一内野手(28)がFA権の行使を表明した。「内川個人が自分で考えて結論を出したこと」と決断を尊重する一方で、球団売却問題に揺れるチームを気遣う面も見せた。日大から03年に自由獲得枠で入団。07、08年には本塁打王に輝いた。ここまで育ててくれた球団には恩義を感じているし、今季も選手会長としてチームをけん引してきた。「こういう状況で僕も出る、内川も出るというのは…。主力が2人減るのはチームとしてマイナスになる」と、複雑な思いを吐露した。

 村田は「横浜と最優先に話をしたい。それに尽きる」という。内川と同様に、売却問題の余波でいまだに球団からのアプローチもない。家族会議も重ねたが、まずは横浜の意向を確認する必要がある。1歩目を踏み出せないでいるところに苦悩がある。「どうするかは分かりません」。最後まで行使の有無は明言しなかったが、決断のリミットはそこまで迫っている。【鈴木良一】

 [2010年10月27日8時29分

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