プロ野球横浜の球団売却をめぐって、TBSホールディングスと住生活グループとの交渉が27日、決裂した。両社は26日まで交渉を重ねたが、最終的に折り合わなかった。

 買収を断念した住生活グループは都内で会見を開いた。グループトップの潮田会長不在がドタバタぶりを感じさせたが、プロジェクトリーダーを務めた、グループ傘下企業トステムの溝口和美副社長(62)は「検討を重ねたが、力及ばず不本意な結果となった。ファンの皆さまや関係者の皆さまの期待に応えることができず、申し訳なく思っている。話し合いの場を提供してくれたTBSホールディングスには感謝している」と話した。

 買収断念が決まったのはこの日の午前中という。理由について、溝口副社長は「諸条件が合わなかった。守秘義務もあり、詳しく話せない」としながらも、本拠地問題の他に「これ以上延ばすと選手の皆さんとかFAの問題もある。時間的に難しい」と話した。野球協約は、原則として新規球団は参入するシーズン前年の11月30日までに実行委員会とオーナー会議の了承を求めている。買収金額も当初は70億円程度とみられていたが、最終的には60億円を割り込んだとされる。住生活とTBSの間には、隔たりがあったようだ。

 もともとがグループの統一ブランド名「LIXIL(リクシル)」を広く認知させる目的で球団買収に手を挙げた経緯がある。売名行為だったのでは、という見方に対して溝口副社長は「売名行為なら手を挙げるだけで済んだはず。プロジェクトチームを立ち上げ、全精力をつぎ込んできた。売名行為には当たらない」などと主張した。企業買収で成長してきた同グループの動きが、結果として球界に与えた衝撃は大きかった。

 [2010年10月28日8時34分

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