阪神ドラフト1位の東京ガス・榎田大樹投手(24=福岡大)はデキる男だった。指名から一夜明けの28日、東京都大田区の同社大森グラウンドで自主トレを行った榎田は、今年の同社野球部のキャッチフレーズを考えた頭脳派。投球術は同社出身の巨人内海をもしのぐという。来月12日から始まる第16回アジア大会(中国広州)では日本代表のエース格を務める。頭脳派らしくすでにライバル韓国を研究、金メダル獲得しての阪神入りを力強く誓った。

 虎のドラ1は実にクレバーな男だった。指名から一夜明け。榎田はチームのスローガンが右中間に掲げられた東京ガスのグラウンドを黙々と走っていた。「Catch

 the

 Top

 2010~進化そして、真価~」。このキャッチコピーの発案者こそ、榎田本人だった。チーム内で毎年暮れに翌年のスローガンを公募。榎田の作品が最優秀に選ばれたのだった。

 榎田

 昨年ベスト8だったので次は頂点、という思い。サブタイトルは僕自身1年目に結果を残せたけど、2年目に残してこそ本物、との意味を込めてです。

 福岡大から入社1年目の09年、チームは都市対抗で8強進出。原動力となったのが、若獅子賞(新人王)を獲得した榎田だった。次の年、優勝するためには自身の進化は不可欠。その時初めてフロックではない本当の実力、真価と言える。それはチーム全員にも当てはまる、考え抜かれた奥深いコピーだった。

 菊池壮光監督は同社出身の巨人内海を引き合いに「力はひけを取らない。試合巧者の点では榎田ですね」とまで言う。最速146キロの真っすぐと右打者に切れ込むスライダー、スクリューが武器だが、打者との駆け引きも即戦力だ。

 榎田

 金を取ってプロに行きたいです。韓国と台湾はみんなプロ。自分がどれだけ通用するか試したい。

 金メダル宣言も飛び出した。来月中旬、中国広州で開催されるアジア大会では、社会人選抜で構成される日本代表のエース格を務める。ライバル韓国はインディアンスで3年連続3割の秋信守、ロッテ金泰均、ソフトバンク李■浩らオールプロの構成で、昨年のWBCと同等メンバーがそろう。ソフトバンク対ロッテのクライマックスシリーズも観戦して研究済み。初の代表で優勝を導けば、阪神入りへこれ以上の手土産はない。

 榎田

 勝利に結びつくのは先発が頑張ること。阪神には藤川さん、久保田さんといい抑えがいる。先発させてもらえたらいい形でつなげられるようにしたい。

 早くもFKとの必勝リレーを描く男は、阪神でも「Catch

 the

 Top」の心意気は変わらない。まずはアジア大会で金を取り、虎の救世主を実証する。※■はきへんに凡

 [2010年10月30日10時38分

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