<ソフトバンク3-2日本ハム>◇30日◇福岡ヤフードーム

 キツネにつままれたような表情で、ダイヤモンドをまわった。日本ハムの鵜久森淳志外野手(24)に、待望のプロ1号が生まれた。この日先発のエース、ダルビッシュと同期入団の7年目。右翼ポールに直撃し、ビデオ判定を経て認定された本塁打に「手応えですか?

 よく分からないですね…」と、しばらくぼうぜんとしていた。

 愛媛・済美高時代は4番打者として活躍し、甲子園でラッキーゾーン撤去後、最多の通算5本塁打を放った。相手左腕の前に反撃の糸口すら作れなかった中、かつて甲子園を沸かせた男が、9回に一矢報いた。「練習から打球の質が良くなってきていた」。ベンチで仲間に迎えられ、ようやく笑みがこぼれた。

 今年の交流戦で、憧れの中日和田からバットをもらった。バット工場に足を運び、和田モデルを頼み込んで作ってもらっていただけに「本物をもらって感動しました」。就寝前、動画投稿サイトで和田の打撃フォームを見ると「勇気が湧くんです」というほどの大ファンで、目標の人でもある。これまで伸び悩んできた苦労人は「1打席1打席、生活が懸かっていますから」。記念すべき1号に酔いしれる様子はなかった。【中島宙恵】