<広島3-0中日>◇30日◇マツダスタジアム

 左腕が完勝に導いた。広島篠田純平投手(26)が、中日打線を8回まで6安打無失点に抑え、今季4勝目を挙げた。好不調の波が激しい今季は、2軍落ちも経験したが、17日の中日戦で5回無失点に抑えた自信を、この日の好投で確信に変えた。広島は再び4位に浮上。上位争いの真夏の激戦で、左腕の完全復活は大きな力になる。

 篠田が復活ののろしをあげた。中日打線を8回まで散発6安打に抑え、無失点でサファテにリレー。今季4勝目を手に入れた。17日の対戦で5回を無失点に抑えてつかんだ自信を、さらに大きくふくらませた。

 篠田

 これまでなかなか勝てなくて、試合もつくれなかった。何かきっかけがほしかった。前回、5回だったけど抑えられたことでなにか変わったかも。

 立ち上がり、先頭平田にいきなりヒットを浴びたが、エンドランで走った平田を女房役の倉が刺してくれた。2回以降は腕も振れて、本来の投球リズムを取り戻した。

 今季は2年ぶりの完封勝利を挙げるかと思えば、つるべ打ちにあって大量失点でKOされる試合が続くなど好不調の波が激しかった。2軍落ちも経験するなど苦しんだが、この日の好投で完全復活の手応えをつかんだ。

 精神的にリフレッシュできた出来事もあった。「パワースポットに行ってきましたから」と篠田が笑顔で明かしたのは、ベテラン石井の自宅訪問だった。

 後半戦開幕のヤクルト戦(神宮)を控えた25日に、後輩の前田健とともに都内の石井の自宅を訪れた。神奈川県出身の篠田は、小学生のころ、当時横浜で主力選手だった石井の大ファンだった。ファン感謝デーでサインをもらったこともあるほど。チームメートとなってからもその思いは変わらず、石井宅という「パワースポット」では緊張しまくりだったというが、その直後の登板で勝ち星に恵まれ、御利益はてきめんだった。

 篠田

 石井さんに招待していただいて、すごく緊張しましたけど、良かったです。

 野村監督も「悪い癖が出かけたがよく粘った。投手はいうことないです」と絶賛。つかんだ自信を確信に変え、上位争いでチームの力になる。【高垣誠】