<横浜2-4中日>◇13日◇平塚

 貧打にあえいでいたオレ竜打線が発奮した。ジョエル・グスマン外野手(26)に代わり、今季初めて3番で起用された小池正晃外野手(31)が先制打を放つなど12試合ぶりの2ケタ安打と足を絡めた攻撃で4点を奪った。クリーンアップ交代に足技と、あの手この手を尽くして5試合ぶりに2点以上を奪った。3連勝で4位浮上、じわりと反撃開始だ。

 恐れ、迷いは感じられなかった。3回2死三塁。3番小池にこの日2度目のチャンスがきた。初回は三振。それでも3番打者はここも初球からフルスイングした。初球、3球目、4球目と振った。いずれもファウル。追い込まれた。だが、消極性は見えなかった。2-2からの6球目をとらえると、打球はつまりながらも右前に落ちた。

 「最初の打席でランナーをかえせなかったので、とにかく先取点が取れてよかった。いいところに落ちてくれました」

 0、0、1、1…。ここ4試合、打線はどん底だった。投手が連続完封と踏ん張り、何とか連勝で平塚に乗り込んできたが、5試合連続1点以下なら89年以来、22年ぶりの汚名となるところだった。

 落合博満監督(57)は3番グスマンを後半戦初めてスタメンから外した。清水に今季3打数2安打と相性のいい小池を今季初めて3番で起用。切り札が、期待に応えた。

 待望の2点目も伏兵がたたき出した。4回2死三塁、清水のスライダーを小田幸平捕手(34)が中堅右へ運んだ。小池と同様に前の打席はまったく同じ状況で三振に倒れていた。だが、やはり、積極性は失わなかった。

 「経験のない選手を使い続ける。それも1つの方法論だ。でも、結果が伴わずに試合に出続けてられる世界ではない。だから、競争させるんだよ」

 大砲ブランコの後半戦復帰が微妙な状況では、限られた戦力で打線を組まざるを得ない。経験の少ない選手を起用する胸中を落合監督はこう語っていた。決して「与える」ことはない。結果で奪い取れ-。プロの原則を貫く指揮官には選手も結果で応えるしかない。小池も、小田も、自身の生き残りをかけた必死のひと振りだった。

 打線の変化は攻撃パターンにも現れた。初回に大島洋平外野手(25)が、3回、6回には荒木雅博内野手(33)が盗塁を決めた。前回対戦で7回2失点に抑えられた清水を足で揺さぶって崩した。クリーンアップ交代に足技…。ベンチも、選手も、もがいて、あがいて、停滞していた流れを動かした。苦しみながら手にした3連勝で4位浮上。まだ頂点は見える。反撃の時間は残されている。【鈴木忠平】