<巨人7-2ヤクルト>◇20日◇東京ドーム
巨人の東野峻投手(25)が、今季初の完投勝利で原辰徳監督(53)に監督通算600勝をプレゼントした。緩急を使い6回2死まで無安打投球。終盤に2点を失ったが、開幕投手を務めた右腕が今季初めて9回を投げ抜いて5勝目を挙げた。打っては初回に小笠原道大内野手(37)と阿部慎之助捕手(32)の連続二塁打で4点を先取するなど、原監督の「男神」たちが活躍。首位ヤクルトに連勝し、ゲーム差は4となった。
指揮官への600勝プレゼンターを譲るわけにはいかなかった。東野は最後までマウンドを守る覚悟だった。「(本拠地の)東京ドームですし、自分が勝てれば少しは歴史に名前が残るかなと」。勝利投手に与えられる、記念のウイニングボール。試合後のインタビューでは「周りの人に相談しようと思います」とユーモアを交えたが、今日21日に心を込めて贈る。
ノーヒットノーランへの意識はなかった。6回2死、この日初めて、スコアボードにHランプがともっても、表情を崩すことはなかった。「ノーヒットはわかっていましたが、意識はせずに先頭をとっていこうと思っていた」。指揮官のため、チームのために「勝ちたい」。その一心だけの今季初完投勝利だった。
プロ3年目の07年に1軍初昇格。ベンチにはいつも原監督の姿があった。4年目には「ファイト投法」と命名された。喫煙を厳しく叱られ、後半戦には「砂遊びを卒業しないと」と独特の言葉でゲキを飛ばされた。「僕を使ってくれたのは監督。恩返ししなきゃいけないし、それには結果が一番なんです」。人一倍勝利に執着する裏には、指揮官への感謝の思いがあった。
信頼するからこその高いハードルだった。今季は初の開幕投手を任されたが、7月上旬に抑えに転向。後半戦からは再び先発に回った。「正直、つらいです…」。珍しく弱音を吐いた時、指揮官の言葉が脳裏をよぎった。5月上旬の名古屋遠征。ホテルで監督の自室に呼ばれ「球界を代表するピッチャーになれ!」と猛ゲキ。「全部勝つつもりでやる」と決意を固くした日を思い出した。
チームは首位ヤクルトに連勝し、4ゲーム差に接近した。原監督は「最後ね、東野らしいというかね。本来ならスキッといってほしかったけど、まぁ良く投げてくれました」と評価しつつ、注文も忘れなかった。「1点で終われれば。詰めが甘いです」と東野。指揮官の思いは伝わっていた。【久保賢吾】



