<巨人3-8中日>◇19日◇東京ドーム

 落合竜が難敵・内海を攻略した。今季5試合で1勝3敗、4点しか奪えなかった左腕から6点を奪って5回途中でKOした。森野将彦内野手(33)が9号2ランを含む、2安打3打点と打線をけん引。主砲・和田が出場選手登録を抹消される緊急事態で、ともにクリーンアップを組んできた男が奮起した。

 オレが打つ。覚悟の一撃だった。2-1で迎えた3回1死二塁、森野が内海の初球ストレートをとらえた。右翼線上に上がった打球を両者は見つめた。静寂の中、そのまま切れずにスタンド上段へ。うつむく内海と悠々走り出した森野。勝敗を分けた1発だった。

 「久しぶりにいい打ち方ができました。7月以来ですからね。いくら待っても甘い球が来ない時は来ない。三振するくらいなら初球からいった方がいいですから」

 森野は知っていた。7月14日ヤクルト戦(神宮)の第1打席で神宮の中堅席に運んで以来の感触だった。その間には自己最長214打席の空白があった。統一球などの影響で長打力を思うように発揮できず苦しんだ。だが、腹をくくったような積極性が理想のスイングを生んだ。6回には野間口からだめ押しの8点目。まさに主砲の仕事だった。

 背番号「30」。その背中にかかる期待と重圧は、いやが上にも大きくなる。前日18日、和田が抹消された。森野は、3年半、ともに主軸を組んできた男の離脱を重く受け止めていた。

 「ベンさん(和田)とは去年から切磋琢磨(せっさたくま)してやってきた。でも、今年はともにだめで…。僕は自分のことで精いっぱいの状況だけど、前を向いてやるしかない。残り28試合ですか。最短で戻ってきても、その3分の1はベンさん抜きの戦いになる。覚悟してやらないといけない」

 数字に納得できない森野は、あくまで自分のことに集中すると語ったが、一方でチームの勝敗を背負う者の重圧がどれほどか理解している。だから、2軍へ行った和田のことを話す時表情は険しくなった。「覚悟」という言葉を自分に言い聞かせているようだった。

 左翼ラミレスの拙守につけ込んだ走塁、徹底した犠打、巨人に野球の違いを見せつけた落合監督は淡々と東京ドームを後にした。

 「3、4、5。ちゃんと仕事していただろう?

 やるべきことをやれるかどうか。無理なことをやろうとしても空回りするだけ。簡単なことだよ」

 13~15日の阪神3連戦に続き、巨人にも2勝1敗と勝ち越し。ツバメの尾は遠いが、同時に最も逆転優勝に近いのもオレ竜だ。和田不在、覚悟の行軍が始まった。【鈴木忠平】