横浜の親会社であるTBSホールディングス(HD)の石原俊爾社長が1日、複数の企業と球団売却交渉を進めていることを認めた。都内で「交渉先が何社かあるのは聞いている」と語った。ただ、具体的な内容については「決まっていれば私のところまで(報告が)上がってくるけどまだない。条件が合えばいいけど、なかなか難しい」と話すにとどめた。

 水面下ではこれまでも数社と交渉を重ねてきたが、現在は携帯端末向けゲームサイト「モバゲー」の運営会社ディー・エヌ・エー(DeNA)や、大手企業などとも話し合いを行っている。DeNA社は球団買収に前向きな姿勢を示しているという。

 DeNAは07年に東証1部に上場し、11年3月期の売上高は1127億円。モバゲーの会員数は約3000万人に上る。テレビCMを中心に、積極的な広告展開を行うなどして会員数を伸ばしてきたが、球団保有により、さらなる認知度アップを図る狙いがあるようだ。

 TBSHDは、球団経営で発生する毎年約20億円とも言われる赤字の補填(ほてん)を行ってきたが、本体の経営にも影響を及ぼすことから継続して売却先を探してきた。昨年は住宅設備大手の住生活グループとの交渉が表面化したが、本拠地移転問題などで、合意直前で決裂した。

 交渉は今後細部を詰めていくとみられるが、球場契約の問題やNPBによる審査などクリアすべき点は多く予断を許さない。野球協約では、球団譲渡する場合、新球団が参入する前年の11月30日までに実行委員会とオーナー会議の承認が必要と定められている。