<DeNA3-1巨人>◇15日◇ハードオフ新潟

 そりゃないぜ。延長11回1死三塁で迎える打者は5番中村。塁は2つ空いている。巨人の決断は「ノリと勝負」。結果はサヨナラ2ランだった。

 延長10回1死一、三塁の場面では、原辰徳監督(53)はマウンドへ行き、西村らに満塁策を指示した。だが、11回は行かなかった。代わりに、原監督はベンチから口頭で、阿部に向かって「ノリと勝負」を指示した。意思の統一はあった。だが、2球目に悲劇が訪れた。

 一般論では敬遠が最善策。1死一、三塁、もしくはさらに敬遠して1死満塁とし、併殺も取れる形で無失点を狙う。実際、延長10回は、満塁策でしのぎきった。既に3時間半を超えており、新しいイニングには進まない。引き分けに向け、必死にまい進する場面だ。敗れた原監督は「まあ、そこから入ってということですね。そこから入ってということで」と、中村を凡退させ、2死三塁を目指すことを選択したと話した。

 DeNAのベンチに残る野手は黒羽根と新沼だけ。代打はない。1死一、三塁なら梶谷、1死満塁なら石川との勝負になる。前日までの梶谷の打率は8分1厘、石川は1割3分2厘、中村は2割8分2厘。3人の中で、ノリ勝負の根拠は、決断したからという以外は見当たらない。坂本は、2回にも失点につながる失策を犯した。延長11回も坂本の失策が起点。「あの辺は、なかなかフォローのしようがないね」と原監督。穏やかな口調だったが、いつになく厳しい選手評。内心は相当いら立っていたはず。ノリ勝負指令は、捨て鉢な采配という印象を禁じ得ない。【金子航】