<巨人2-0阪神>◇29日◇東京ドーム

 巨人加治前竜一外野手(27)が一撃で阪神岩田を仕留めた。2回2死一、二塁。「一発で仕留める」。狙い通り、初球の高め138キロシュートを、中前にはじき返した。二塁走者阿部の激走もあり、貴重な先制打に。「うれしいのひと言です」。初打席でサヨナラ本塁打を放った08年以来の打点に笑顔を見せた。

 ここまで不運に見舞われた。「今年は背水の陣」と気合十分で1月4日にジャイアンツ球場を訪れたが、施設は正月休み中で閉まっていた。2月の宮崎キャンプでは、1軍紅白戦で代打出場したが三振し、外野争いのライバルになる次打者隠善が本塁打を放った。「僕は次が勝負になる」と話したその4日後の紅白戦で、マシソンから頭部死球を受けて病院に直行した。

 だが、めげなかった。「チャンスを一発で仕留められるかでしょう」。好きな言葉は「全力」「捨て身」。りりしい表情からくる愛称「ドーベル」のように、忠誠心と忍耐力を胸に好機を待った。「今やらないと男じゃないと思ってました」。先制打を含む2安打と忠実に期待に応えた加治前に、原監督も「本来の思い切りの良さ、若武者の形を出してくれた」と値千金のV打を喜んだ。それでも、加治前は浮かれない。「ここからが勝負ですから」と、次なる獲物の一撃必殺を見据えた。【浜本卓也】