単身赴任でも全面バックアップ!

 阪神が今日28日にも福留孝介外野手(35=ヤンキースFA)の獲得交渉に臨む。すでに極秘交渉しているが、ライバルのDeNAを上回る条件を再提示する方針だ。家族の在京志向にも対応する姿勢で、単身赴任時の環境も整える。西岡、コンラッド、日高に続く大型野手補強の完成へ、不退転の決意だ。

 阪神は近年で例を見ない大型補強を敢行した。西岡、コンラッド、日高…。残る大物外野手を獲得できれば、最大の野手強化が実現する。今日28日にも行われる福留の獲得交渉には本人も同席する見込み。極秘交渉を進めてきた球団フロントにとって、大詰めの段階だ。球団幹部は不退転の決意をにじませる。

 「同一リーグに行かれては困る。得点力アップを図るためにも、絶対に必要な選手だ。取られるわけにはいかない」

 最下位脱出に向け、補強に力を入れるDeNAにライバル心を燃やした。同じセ・リーグで大暴れしてもらうわけにはいかない。そのために、阪神は条件を見直し、再提示する方針だ。金銭面でDeNAを上回るべく、2年総額4億円以上を用意。引退後の「コーチ手形」も惜しまない。住環境の整備も当然、考慮している。同幹部は「家族に在京志向がある場合、単身赴任もいいだろう。関東遠征も多いので、自宅から球場に行ってもらってもいい」と話す。関東遠征の際、チームは宿舎から球場に向かうが、独自行動を容認する姿勢も見せた。

 数々のVIP待遇が、福留獲得への熱意の表れだ。5位に沈んだ今季は、得点力不足とともに、外野の守備力でも他球団に劣っていることを痛感。和田監督は広い甲子園に見合った戦力強化を訴え、特に福留の加入を熱望している。強肩と勝負強い打撃は、あまりにも魅力的だ。獲得すれば、5番での起用が濃厚。得点圏で勝負弱いシーンが目立ったが、そのフラストレーションも福留ならば解決してくれるはずだ。

 この日、交渉役の中村勝広GM(63)は普段の温厚な表情を見せなかった。交渉を目前に控え、ピリピリムードさえ漂わせた。「(自信は)ゼロ…。手の内はあまり明かしたくない。そっとしておいて…」。チームを一新する大型補強が成功するか。相当な覚悟をもって、テーブルに着くことになる。

 ◆阪神過去の好待遇

 02年オフの広島金本には星野監督が交渉に直接出馬し口説き落とした。07年オフに広島新井、中日福留のダブル取りを狙った際は交渉解禁日の即日アタックを画策。実際に新井とは解禁翌日に北京五輪の日本代表合宿先だった宮崎に飛んで交渉にこぎつけた。09年のマリナーズ城島にはこだわりのある背番号「2」を用意。10年オフのロッテ小林宏にはメジャー挑戦の意思をくみ、年明けまで交渉を待った。03年にFA宣言した下柳には関西生活で面倒が見られない愛犬の世話まで請け負う姿勢をみせた。10年にはマートンら外国人の家族をサポートすべく、一流ホテルの元コンシェルジュと契約を結んだ。