秋の秋山道場が本格開業だ。ソフトバンクの秋季練習は20日、第2クールに突入。秋山幸二監督(51)は武田と吉本の2年目右腕をつかまえ、正拳突きにウオーキングと一風変わったメニューを与えた。股関節を使った体の動きを覚えるためのアプローチ。今秋は股間を?

 びしびし鍛える。

 まるで空手道場だ。武田と吉本が腰を落として正拳突きを繰り出した。「師範役」の秋山監督は自分の手のひらも突かせた。続いてウオーキング講座。2人が背筋を伸ばしてテクテク歩き、頭をぶらさずに背走するメニューもあった。指揮官の狙いはシンプルだ。

 「股関節の使い方の話だよ。投げる、投げると言っても、手だけ意識しても意味がない。体幹だな。普段の歩き方、練習中も今ここを使っているなあと、意識していけばいい」

 

 すべての動きは下半身から。股間を刺激、意識する秋が始まった。正拳突きでは2人のへその下、丹田(たんでん)と呼ばれる部分をさすり、意識を持たせ、歩く際にはベルトのバックル部分を引っ張った。

 身長186センチの武田は「僕は姿勢が悪かった」とさっそく腹に力を込め、背筋を伸ばした。練習後も吉本とヤフオクドームの一塁ベンチ前で歩き方を相互チェック。「腕を使わなくても、体幹で投げるということです」。ピッチングで実際には腕を振るわけだが、下半身主導の動きに腕がついてくるイメージが基礎にある。吉本も「腰を入れろと言っていただいた。投げる動作に出てきますね」と珍メニューを理解していた。

 秋山監督は自らの入団当初を持ち出し、補足する。

 「俺は力いっぱいオリャ~と振ってるのに、田淵(幸一)さんは軽~く振ってスタンドにポンポン入る。ずっと見てたら下半身を使ってるんだと分かった。昔は誰も教えてないし、目で盗まないといけなかった」

 直接指導した2人は2年目。現役時代に感じた知識を授け、好素材の成長につなげようと動いた。例年ユニークなメニューを繰り出す秋山道場は始まったばかり。Bクラスで迎える秋はしごき甲斐たっぷりだ。【押谷謙爾】<秋山流珍トレ>

 ★木刀

 08年の秋季キャンプ(C)で松田らに木刀の素振りを命じた。長さ115センチ、重さ約1キロ。空き時間に片手で振り、リスト強化のほか、24時間体を鍛える意識を持ち込む狙い。

 ★サンドバッグたたき

 総合コーチだった07年秋季Cで導入。あまりのキツさに野手陣から悲鳴が。

 ★速読トレ

 10年秋季Cで導入。「カリスマ速読インストラクター」として各地で講演などを行っている呉(くれ)真由美氏を講師に招いた。マシン打撃を行った野手が「速読」した後で再びマシン打撃を行い前後の違いを検証。

 ★エアロビクス

 同じく10年の秋季C中に、美人女性フィットネストレーナー2人がキャンプ参加した全選手に指導。体の連動性や俊敏性を高めることが目的。

 ★合気道

 昨秋の秋季C中に心身統一合氣道会の藤平信一会長を招いた。心と体のバランスを整え「気」を利用して最大限の力を引き出す方法をコーチ、選手が学んだ。