<ロッテ2-1オリックス>◇29日◇QVCマリン

 五右衛門が釜ゆでの刑から生き返った!

 ロッテ石川歩投手(26)が首位オリックスに三塁を踏ませず、8回4安打無失点で5勝目を挙げチームの連敗を3で止めた。前回22日の中日戦(ナゴヤドーム)は66年成田以来となる球団ワーストタイの16安打を浴び、6回9失点で負けていた。

 1球で感触をつかんだ。1回の先頭打者・平野恵への初球、143キロの内角速球でのけぞらせ、3球とも直球勝負で投ゴロに打ち取った。「あれで力が抜けました」。本来の直球主体の投球がよみがえり、シンカーとカーブも生きるコンビネーションで打ち取っていった。

 不安を乗り越えた。「ナゴヤの後は気持ちが切り替えられなくて。次はオレだと…」。開幕1軍の新人仲間が次々に降格し、ただ1人残っていた。しかし5月24日の巨人戦で4勝目を挙げてから4戦勝ちなし。しかも前回は炎上した。

 まずは体から変えた。内転筋が硬くなっていたため、自室でも入念にストレッチを続けた。練習では川越投手コーチのアドバイスでシャドーを取り入れた。下半身を重点的にチェックした。「それからはブルペンでいいボールが行くようになり、気持ちも落ち着いた」と振り返った。

 伊東勤監督(51)もどん底からの「一発快投」を喜んだ。「背水の陣とまでは言わないけど、危機感が伝わってきた。前回は次につながるためにと、おきゅうをすえたようなものだから」。プロの厳しさを教えられた石川は、わずか中6日で期待に応えた。ニックネームを売り出すきっかけとなった日曜の勝利は4月27日以来。「サンデー五右衛門」が息を吹き返した。【矢後洋一】