<SMBC日本シリーズ2014:ソフトバンク5-2阪神>◇第4戦◇29日◇ヤフオクドーム

 ソフトバンク救援陣の奮闘が白星を引き寄せた。先発中田賢一投手(32)は乱調で1回のリードを守れず、3回で降板した。2-2の4回から2番手東浜巨投手(24)から4投手が無失点でつなぐ。継投で嫌な流れを食い止め、劇的なサヨナラ勝ちを呼び込んだ。

 中田の乱調で阪神へ向こうとした流れを2番手東浜がガッチリ止めた。同点の4回から「久しぶりに武者震いがした」と、やる気満々で日本シリーズ初登板。3回を1安打無失点に抑えた。6回1死一、二塁のピンチでは藤井、大和を連続三振。大和にはボールになるスライダーで空振り三振を奪いマウンド上でほえた。

 秋山監督も「東浜が期待に応えて、あと中継ぎ、五十嵐、0点でいったのがよかった」と、勝利の方程式へつないだ東浜をお立ち台で勝因に挙げた。3イニングを投げてのホールドは10年にロッテ内が第7戦に記録して以来2人目だ。

 先発の柱として期待された2年目の今季はわずか2勝と昨年の3勝を下回った。9月には先発ではなく中継ぎで1軍に呼ばれたが、この時の経験がこの日に生きた。

 鳴り物入りで入団し、結果が出せないまま2シーズンが過ぎた。大卒での入団組は11月から西戸崎合宿所を出ることができるが「僕はもう1年、寮にいます。野球に集中したい。しっかり結果を出して、来年、ドームの近くに住みたい」。寮を出れば門限はなく、夜中まで自由に時間を使える。あえて自分をもう1年追い込む。23日のドラフト会議では亜大時代から仲の良い中大・島袋洋奨投手(22)が指名された。その日に電話で激励。「仲良しなので楽しみです」と、同じ寮生活で刺激し合うつもりだ。

 「(殻を破る)きっかけにしたいですね」。日本シリーズが東浜を一回り大きく成長させた。【石橋隆雄】